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日本一速く走れる文学少女 SNSで文章力がバズった陸上・田中希実の人生を変えた一冊

児童文学が好きになり、ミニチュア集めも趣味に【写真:本人提供】
児童文学が好きになり、ミニチュア集めも趣味に【写真:本人提供】

「本離れ」の中高生へアドバイス「本を探すところから楽しんでほしい」

 一冊との出会いが少女に大きな影響を与えた。競技人生で大事にしてきたのは、記録やタイトルではなく「強くなりたい」という気持ち。今では非五輪種目の1000メートルと3000メートルでも日本記録を持ち、東京五輪は1500メートルで日本記録を更新し、決勝は8位入賞。海外との距離が遠かった種目で日本人初の快挙を果たした。

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 ただ、どれも「強いランナーになる」という物語を構成する一つの章に過ぎない。

 同志社大ではスポーツ健康科学部に所属しているが、単位互換制度を利用して同志社女子大の授業も履修。本への興味は尽きず、文学作品の理解をより深める内容を受講した。

「一見全く関係ないような分野でも、スポーツに関連付けて考えられるようになったと思います。大学は固定観念を持たずに勉強することが求められる。文学系の授業で思想的なものを学んで、その考え方が陸上に通じることもあります」

 視点を少し変え、当たり前のようにやっていた練習が本当に適切なのか見直すこともある。少なからず競技生活にも生かされている読書の力。子どもの「本離れ」が叫ばれて久しい時代、中高生へ優しくアドバイスを送ってくれた。

「読書もあまり強制したくはないんですけど、自分が読んでみて面白いと思う本があれば、同じ系統の本を他にも探してみることが大事かなと思います。自分に合う本がわからない子も多い。それでも、絶対にこの本じゃないといけないとか、課題図書だけを読むとか、その必要はないと思います。それだけが本じゃないので。

 本屋さんや図書館に行って、タイトルや前書きを読むだけで心が惹かれる本があるはずです。そういう角度から攻めていけば、面白いと思える本に自然と出会える。絶対に読まないといけないって身構えないで、本を探すところから楽しんでほしいなと思います」

 アイデンティティーを探した少女時代。今でも、本を語る姿は嬉しそうだった。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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