慶大ラグビー部時代に伝説の決戦 ロッテ社長など歴任したリーグワン理事長の異色の人生
国内ラグビーの新リーグ「NTTジャパンラグビー リーグワン」が、2022年1月7日に開幕する。21年5月で幕を下ろしたトップリーグからバトンを受けた新リーグは、ディビジョン(3部)制などフォーマットの刷新に加えて、参入チームには将来的なプロ化を見据えた事業化、ホストエリアとの連携や普及育成機関の充実を求めるなど、日本ラグビーの構造改革に挑戦する。
リーグワン玉塚元一氏インタビュー前編、理事長として新リーグで目指す「恩返し」
国内ラグビーの新リーグ「NTTジャパンラグビー リーグワン」が、2022年1月7日に開幕する。21年5月で幕を下ろしたトップリーグからバトンを受けた新リーグは、ディビジョン(3部)制などフォーマットの刷新に加えて、参入チームには将来的なプロ化を見据えた事業化、ホストエリアとの連携や普及育成機関の充実を求めるなど、日本ラグビーの構造改革に挑戦する。
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リーグを運営する一般社団法人ジャパンラグビーリーグワンで陣頭指揮を執るのは、ロッテホールディングス(HD)代表取締役社長の玉塚元一理事長。慶應義塾大蹴球部(ラグビー部)ではハードタックラーとして当時最強を誇った同志社大と名勝負を演じた後は、戦うフィールドをビジネス界に転じてファーストリテイリング、ローソン社長などを歴任。実業界で最前線に立つ異色の経歴を持つ。ビジネスマンとしての自分自身をも育ててくれたと断言するラグビーへの「恩返し」という思いで楕円球の世界に戻ってきた新リーグのトップに、リーグワンが目指す挑戦と日本ラグビーの未来を聞いた。(取材・文=吉田 宏)
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スーツに身を包んでいても、精悍な面立ち、そして逞しい肩幅が、36年前の伝説の決戦を蘇らせる。多忙な仕事の合間を縫って行われたインタビューで、玉塚理事長が新リーグへの思いを熱く語ってくれた。
「よく言われることですが、リーグワンってどこが変わるのかと。主管権が協会からリーグへ移るとか、ガバナンスが変わるとか、いろいろあります。でも、ファンの皆さまから見れば、そこは重要ではないじゃないですか。“フェーズ1”と定めたのが最初の3年間、1月7日の開幕戦から始まるこの3年間が、すごく大事だと考えていますね。
例えば、新しい動画の配信サービスや、一番ファンに分かりやすくて、アクセスしやすいチケット販売方法、いろんな仕掛けをしていくことが重要です。それぞれの地域でラグビーを盛り上げていくような流れを作っていきたい。3年間でどこまでスピードを持って、いろいろなことにトライして、リーグワンになるとこんな風に変わっていくんだと、ファンや関係者の方々が体感できるような状態に持っていきたいと思います」
東京・新宿のロッテ本社の静謐な会議室に響く江戸っ子風のエネルギッシュな話ぶりも異彩を放つが、その足跡も異色のリーダーだ。
ラガーマンとしてのハイライトは1985年1月6日。今は解体された壮麗な旧国立競技場が舞台だった。当時は国内ラグビーのクライマックスとなっていた大学選手権の決勝戦。このシーズンのファン最大の注目は、無敵の同志社大が挑む前人未到の選手権3連覇。その歴史をかけた大一番で、常勝軍団に牙を剥いたのが日本ラグビーのルーツ校である慶應大だった。最終学年だった玉塚氏も背番号7を背負って最強の相手に襲いかかった。
「ラグビーを始めたのは中学からですね。単純に練習を見て、キツそうだけど面白そうだなって。(自分は)根性がなく、ひ弱いボウズだったんです。親も反対していたから、最初は内緒で。でも、あちこち怪我するじゃないですか。それでバレましてね。でも、やり始めたらすごく面白くて。ボールを持って走って、思い切りタックルしてね。はまりました」
笑顔が、ロッテのトップから少年のものに変わる。