ラグビーから始まる「多様性」と「共生」 One Rugbyが子供たちに伝えたかったこと
廣瀬俊朗さん「楽しかったで終わらせず、日常生活に生かして」
午前の部と午後の部の間には、トークセッションを実施。斉藤区長、廣瀬さん、元車いすラグビー日本代表の三阪洋行さん、そして元ラグビー日本代表主将の菊谷崇さんが加わり、様々なラグビーの魅力についてトーク。タックルのないタッチラグビーについて、廣瀬さんは「ステップで相手を抜いたり、首や肩周りの動きだけでフェイントを仕掛けたり、いろいろな工夫ができる面白さがある」と指摘。高校時代にラグビーで負傷し、車いす生活となった三阪さんは「障がいがあっても工夫ひとつでラグビーを楽しめる方法が見つかる。できないと諦めるのではなく、できる方法を見つけることも大事。車いすラグビーは性別の差もなく男女混合という面白さもあります」と、共生のヒントを語った。
グラウンドのあちこちで大きな笑顔が咲いた1日を終えると、廣瀬さんは「みんなが楽しかったと言ってくれたことが大きな成果です」と充実の表情を浮かべる。
「今日の体験を『楽しかった』で終わらせず、プラスαとして日常生活に生かしてくれると嬉しいですね。例えば、街で困っている人がいたらサポートしたり、何気ない歩道の段差が車いすや視覚障がいの方には大変だと気付いたり、いろいろな人の気持ちになって考えられたら、みんなが住みやすい環境になる。様々なラグビーを体験することが、子供たちの学びに繋がることを願います」
コロナ禍の影響でなかなか体験会を開催できずにいたが、万全な感染予防対策を講じた上でようやく実現にこぎ着けた今回のイベントに、One Rugbyのメンバーは大きな手応えを掴んだようだ。来春には関西地区で同様のイベントを開催する予定があるという。ラグビーから始まる「多様性」や「共生社会」実現に向けた活動は、これから徐々に輪を広げていく。
【写真:荒川祐史】
(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)