あのW杯以来のラグビー日本代表戦 6月12日、おじさんファンの寝顔にも溢れた「幸せ」
“当たり前の光景”がいかに価値のあるものか
可能な限りの感染対策が講じられた上で、1万8434人が集まった。ウォーミングアップから熱気を増していくスタンド。選手たちがロッカールームへ引き揚げる際には、ハリセン型のグッズで手拍子が鳴らされた。最大ボリュームで響く“生”の音。W杯のような幸せに満ちた光景だった。
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W杯メンバー13人が先発した日本代表と、この日のために再結成されたサンウルブズのレアマッチ。待ちわびたファンの想いに後押しされるように激しくぶつかり合った。どちらのチームも応援する雰囲気。客席にはマスク越しでもわかるほどの笑顔が広がっていた。
32-17で日本代表が逆転勝ち。試合直後の場内インタビューで、主将のFLリーチ・マイケルは第一声に「待ち切れなかったです」と汗を拭った。「ずっとコロナがあって、合宿で集まったり、試合するのに時間がかかった。今日、やっと皆さんの前でプレーできたことが凄く嬉しいです」。客席に挨拶をしながら場内を一周。CTB中村亮土も「お客さんが半分くらいの状況でも、ラグビーができるのは本当に幸せ。最後まで残ってくれて、温かい応援で送ってくれるのは本当に嬉しいこと」と噛み締めた。
空前のラグビーブームからリーグ中断。熱は冷めてしまうのかと心配されたが、ここだけは違った。午後8時半、掛川駅の待合室には、くたびれた様子をしたファンがちらほら。おじさんの寝顔にも充実感があった。
目に見えない幸せが久々に見えた一日。長く触れていなかった“当たり前”の光景が、いかに価値のあるものだったのかを思い知らされた。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)