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「勇気を与えたい」と言いづらい時代 熊本地震から5年、上田桃子の言葉にあった説得力

熊本地震から5年、故郷への想いを胸に戦った上田【写真:Getty Images】
熊本地震から5年、故郷への想いを胸に戦った上田【写真:Getty Images】

コロナ禍で迷った全英出場「いつも挑戦していたい。それを見せるのも大事」

 結びつきの強い両者。20年8月、上田は全英女子オープンの出場を決めた時も強い想いを抱えていた。帰国後は2週間の自主隔離で国内ツアー2試合に出られない。感染リスクもある。出場権が舞い降りてきた時期は、熊本が記録的豪雨に見舞われていた。

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 迷った末に挑戦を決断した。一回り年下の若手と第一線に立つ35歳。いまだ冷めない情熱がここにある。

「何でも決断する時は『自分がどうしたいか』を大事にしている。(日本で)試合もあまりないし、それだったら向こうで頑張って、ちょっとでも『熊本人、頑張ってるな』と思ってもらえる方がいい。いつも挑戦していたい。海外に行くことには家族の反対があったけど、いつもチャレンジしている姿を伝えるのも大事。いろいろな意見はあるだろうなと想定しつつも、チャレンジしたところを見せたいという気持ちの方が大きかった」

 海外メジャー自己最高の6位。豪雨災害を受けた地元へ、獲得賞金から1000万円を寄付した。

 熊本地震から5年が経っても、400人以上が仮設住宅だった。上田は今年も3日間を全力でプレー。「身近な人が大変な生活をしていて、自分の両親も熊本で生活をしているので(再び自然災害が起きないか)心配になる。今まで以上に深く、強く考えることがある」。無観客だったが、故郷への想いを胸に「少しでもテレビに映る位置(上位)で回りたい」と戦い抜いた。

 アスリートが頑張ったからといって世間の問題が解決するわけではないが、一歩踏み出す力にはなる。選手にとっても、人が喜ぶ姿はモチベーション。今年5月、上田は2年ぶりの優勝を果たした。言葉でも、背中でも想いを表現するアスリートはカッコいい。強い説得力もある。「勇気や感動を」という想いを“本気で”表現しようとする選手がいたら、真正面から雄姿を見守りたい。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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