伊藤美誠を「本気」で支えた13日間 補欠の早田ひなしか経験できない東京五輪の裏側
「同世代の活躍に悔しさは?」の問いに「特にない」、即答できた理由とは
これらの成長を語っていたのは、9月10日のTリーグ開幕戦。「期待に応えるのがエース」と、試合前の練習から気合が入っていた。五輪をきっかけに新しいサーブにも挑戦。「今日も日本生命の練習相手、スタッフ、いろんな方の支えがあるとわかった上でコートに立つことができた」。感謝と気遣いを忘れずにラケットを握り、想いをボールに乗せた。
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開幕白星に導いた試合後、「同世代が東京五輪で活躍して悔しさは?」と問われても「特になかったです」と即答。本気でチームを思って行動したからこそ、断言できるのだろう。伊藤が金メダルに輝き、夢を叶えた瞬間は嬉しくて涙が止まらなかったのだから。
20年1月、東京五輪代表争いに決着がついた直後の全日本選手権は、シングルスで伊藤、石川を破って初優勝した。先月29日に幕を閉じた世界選手権は、伊藤と組んだ女子ダブルスで2大会連続準優勝。張本智和との混合ダブルスでも銀メダルだった。
「一つひとつの大会をクリアしていく中で、24年のパリ五輪があると思っています。あまり今はパリのことを考えていない。目の前の試合で結果を出すことを今は考えています」
16年リオ五輪は平野が補欠を経験し、東京五輪までの成長に繋げた。日本の女子卓球選手でたった一人しかできない経験をした21歳の夏。早田は財産を胸に、目の前の一球に本気をぶつけていく。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)