高校生の熱意が生んだ小児がん支援の波 Bリーグ群馬「レモネードスタンド」がつなぐ思い
ここに『#YELLOW FOR THE FUTURE レモネードスタンドプロジェクト』と書かれた企画書がある。企画発案・作成者は17歳の学生。群馬県太田市にある、ぐんま国際アカデミー中高等部11年生の松岡優さんだ。
高校2年生の松岡優さんが発案、小児がん支援の『レモネードスタンドプロジェクト』
ここに『#YELLOW FOR THE FUTURE レモネードスタンドプロジェクト』と書かれた企画書がある。企画発案・作成者は17歳の学生。群馬県太田市にある、ぐんま国際アカデミー中高等部11年生の松岡優さんだ。
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彼が企画した『レモネードスタンドプロジェクト』は学校を動かし、企業の賛同を得て、地元のプロバスケットボールチームをも動かす大きな“波”となった。10月9、10日に開催されたB1リーグ・群馬クレインサンダーズのホーム開幕戦で出店された『レモネードスタンド』。たくさんの人で賑わい、2日間で想定を大幅に上回る約850本分(170,776円)の寄付が集まった。
なぜ、このプロジェクトが多くの人を引き付けたのだろうか。どうして高校生はこのプロジェクトを企画したのだろうか。純粋な気持ちが生み出した“波”の発端について話を聞いた。
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現在、高校2年生の松岡さんの夢は、医者になること。そんな彼が、『レモネードスタンドプロジェクト』を通して一番に伝えたい思い。それは「小児がんにはサポート、支援が必要だということをもっと多くの人に知ってもらいたい」ということだ。
松岡さん自身、小児がんという病気で同世代の子供たちがつらい思いをしていることを知った。「ヘアドネーションとか学内でもそういった活動があったので、そういう点でもすごく小児がんという病気に興味があって、自分でも何かできることがないかな」と考えたという。
調べていくうちに、アメリカで広まっているという『レモネードスタンド』に目が留まった。実は松岡さんにも、見覚えがあったからだ。自身が通うぐんま国際アカデミーで以前、夏祭りが行われた時、初等部の子供たちがレモネードを販売していたのだ。しかし、その時はレモネードスタンドが小児がんの支援につながる活動だとは知らなかったという。今回、レモネードスタンドについて調べていくうちに、「これなら自分にもできるんじゃないか」と思い立ち、授業で学んだ企画書の作り方に沿って、自分なりに考えをまとめて学校に提出した。
何度か企画書を作成したことはあったものの、あくまでも授業のなかでのこと。これほどまでに大規模な企画を考えることはなかったため、企画書を作り終えるまでには1か月以上かかったという。「こんなに大きなことを実現させるなんて……たくさんの人に手伝ってもらっているからこそ今があるんですけど、それでも過去の自分からすると本当に考えられないことです」と自身が一番驚いている。
実際に協賛を得た企業にも、自分で企画書を持っていき、プレゼンを行ったという。
「関係者の方、7人くらいの前で、実際に企画書を使ってプレゼンテーションみたいなことを行って、『こういう狙いがあります』と僕の考えを話しました。ただでさえ、人前に立つのは苦手なのに、大人を7人も前にすると、やっぱり最初は声を出すのも本当に怖くて、なかなか話を切り出せませんでした。でも皆さん優しくしていただいて、途中からは少し打ち解けて話せるようになりました」