世間を騒がせた、あの“山根問題”から3年 騒動から甦った「日本ボクシング連盟の今」
企業への挨拶回りも相手にされず、菊池氏「デメリットしかないですから(笑)」
菊池氏「最初は各企業に挨拶をして回りましたが、全く相手にされない状態でした。あの騒動の後だったので、企業にとってスポンサーになってもデメリットしかないですよね(笑)。印象が悪くなるだけ。(古くから関係が深い)用品メーカーの方々にはお付き合いしてもらっていましたが、それ以外は全くでした」
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かつてはトップダウンで全てが決まる無法地帯。組織内の様々な規定整備を進め、競技普及や選手育成も推し進めた。小さな活動もメディアに取り上げられ、少しずつイメージが変化。現在は5社ほどがサポートしてくれている。今大会、選手のインタビューエリアの背後には、各企業のロゴが入ったボードを設置。菊池氏は「以前はあれもなかったんですよ。どこもついていなかったから」と苦笑いする。
内田会長も「官庁関係のご指導のもと、洗いざらい見せてやってきました。お金に関する部分がしっかりしていることが大事」と語る。地道な活動が徐々に実を結んでいく中、前体制の悪いイメージ払拭へ、最も大きな転機が訪れた。
東京五輪で入江聖奈が金、並木月海と田中亮明が銅で3つのメダルを獲得。普段はボクシングを見ない人々も快挙に沸いた。
内田会長「ボクシングのイメージが変わったと思います。マイナスなイメージのある選手は一人もいない。それが凄くプラスに働きました。競技として痛い、血が出るとかはあるのですが、以前は昔ながらの悪いイメージが残っていました。それがかなり少なくなったと思います。オリンピック選手たちの影響は凄く大きかったです」
一昔前の“ガラが悪い”という印象がついて回った。近年はプロでもクリーンな選手が活躍し、イメージが変化している。特に入江は明るく謙虚なキャラクターで人気を集め、テレビ番組に引っ張りだことなった。内田会長は「昔から良い子はたくさんいましたが、そこをようやくわかってもらえるようになった」と感謝する。
10月の世界選手権では、岡澤セオン、坪井智也が同じ日に日本人初優勝の快挙を果たした。日本代表による世界大会の連続した活躍。これは実力者が偶然集まったからではない。練習内容とスポンサーの資金援助において、「選手ファースト」を貫く日本連盟の改革があった。
(30日掲載の後編に続く)
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)