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かけっこでタイムよりも大事なもの 陸上元五輪選手が東北の子たちに伝えたかったこと

約2時間のクリニックで、伊藤氏の指導にも熱が入った【写真:村上正広】
約2時間のクリニックで、伊藤氏の指導にも熱が入った【写真:村上正広】

1年間の成果発表、50メートル走のタイムが1秒以上縮まった生徒も

 約2時間のクリニック。伊藤氏の指導にも熱が入った。手取り足取り、一人一人に丁寧にアドバイスを送った。また目立ったのは「上手だね!」「いいね!」「素晴らしい!」など子供たちをほめる言葉だ。そして子供たちも応え、この日のわずかな時間の中でも、また成長していった。

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 400メートルのトラックをフルに使ってのリレーが行われた。参加した小学校2~6年生、計32人が8人ずつ4組に分かれてのリレー。先ほど教わったばかりのバトンパスの成果を実践する場だったが、1人50メートルずつ走ってのバトンリレー競争となれば一気に白熱する。抜きつ抜かれつの攻防が繰り広げられ、その光景を伊藤氏は暖かいまなざしで見守った。

 最後は50メートル走のタイム測定だ。遠隔始動を受けた7人の中で、田中結音さん(6年)が7秒88を記録するなど7秒台をマークした生徒が2人。そして1年前の指導開始時は9秒3だった古屋生吹くん(5年)は8秒04と、1秒26もタイムを縮めた。その他の生徒も全員がタイムを短縮することに成功。子どもたちの満面の笑顔に、伊藤氏も「よく頑張ったと思います」と思わず目を細めた。

 タイムはもちろんだが、何よりも大きいのは自信が得られたことだ。伊藤氏は「足が速くなるということを目指す中で、自分が決めたものをクリアしていく。こっちはその手助けとなる材料を提供するだけ。乗り越えていく喜びは大きいと思います」と強調。結果よりも、そこに至る過程を経験したことに何よりも価値があるという。

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