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中国が見逃している「サッカーの本質」 エリート選手に欠落する“重要な資質”とは

集団の概念は重要だが“仲良し”ではない

 ラ・マシアでは同じポジションで同じような役割を託された選手が、各カテゴリーで育っている。「枠にはめることによって個性が奪われるのでは」という危惧があるだろうが、心配には及ばない。選手はそれぞれキャラクターが違うだけに、同じポジションで似た系統の選手であっても、選手同士でボールプレーを重ねることで、個性は濃厚に出るものだ。

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 事実、グアルディオラの系譜であるポジションには、シャビ・エルナンデス、イニエスタ、セスク・ファブレガス、チアゴ・アルカンタラ、セルヒオ・ブスケッツがいるが、トップチームに昇格後は各自、色合いが異なる選手になった。いずれもプレー自体を変化させ、ポジションを革新させ、チームにダイナミズムを与えているのだ。

 ただし、集団と個人の捉え方には注意点もある。

 サッカーでは集団の概念が重要だが、“仲良し”が大事なことではない。有力なチームには必ず、ややチームからはみ出している者がいる。彼らのような不服従の個人も内包できるかで、集団としての撓みが出るのだ。

「Mala Leche」

 スペイン語で直訳は「腐った牛乳」になるが、「人としての感じ悪さ」の意味になる。彼らはなれ合わず、独自の行動をするが、それは集団に対して刺激や緊張感を与える。おかげで集団は小さくまとまらず、外側に対し、戦闘態勢を取れるのだ。

「共闘」と「仲良し」は同義ではない。

(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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