元日本代表主将の菊谷崇氏が石巻工業ラグビー部を指導 花園予選へ大きな後押し
パスを繋ぐために大切な「声掛け」 選手を導きながら課題解決
そんな石巻工業にとって、菊谷氏の訪問は最高のプレゼントとなった。コロナ禍の影響もあり、直接対面するのは1年ぶりのこと。再会を楽しみにしていた選手たちは前日から待ちきれなかった様子で、グラウンドに菊谷氏の姿を見つけると、満面の笑みを浮かべて元気な挨拶をした。
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これまでは菊谷氏と天野が考えたメニューに沿って練習し、選手たちとディスカッションを重ねながら、考えてプレーする大切さを伝えてきた。だが、この日は練習試合前ということもあり、ウォーミングアップを兼ねたタッチフットを実施。走らずに早歩きする、2回タッチされたら攻撃権が相手に移る、など独自のルールを設定し、ゲームを行った。
この時、菊谷氏が伝えたかったのは「声を掛ける大切さ」だ。ボールを後ろにパスしながら前方のゴールラインを目指すラグビーでは、スムーズにパスを繋ぐために後方からの声掛けが肝となる。菊谷氏は「ボールを出す人に明確な選択肢を与えるための声を掛けよう」とアドバイス。「ディフェンスラインがばらばらだったので、直線に揃って上がるべきだった」という選手から出た反省に注目すると、どんな対応策があるのか、選手たちが自ら答えを導き出すサポートに努めた。
また、ラグビーの基礎とも言えるタックルの技術指導では「テコの原理」を上手く活用するようにアドバイス。自分の肩より低い位置にある相手の膝裏やふくらはぎを手でバインドすれば、大きな力を使わなくても相手のバランスを崩せる。わずかな意識の違いが、無駄なく効率いいプレーに繋がり、勝利への近道ともなるのだ。