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東京五輪の価値を子供にどう伝えるのか 陸上メダリストの答え「前向きに行動する事」

見る人がいて価値を生むスポーツ、次世代に伝えるべきものとは【写真:近藤俊哉】
見る人がいて価値を生むスポーツ、次世代に伝えるべきものとは【写真:近藤俊哉】

日本スポーツ界の未来に危機感「スポーツに落ちるお金、注目が減るのはすごく怖い」

 取材した7月29日時点で、朝原氏が東京五輪で「価値がある」と感じたシーンはいくつもある。水谷隼、伊藤美誠の卓球混合ダブルス金メダル、北京五輪以来の実施で連覇したソフトボール、メダルを量産した柔道。子どもたちに見てほしい選手の姿があった。

「卓球の2人のコンビネーションや信頼関係。ソフトボールにはチームワーク、忍耐、諦めない力を感じました。上野由岐子投手が一度モチベーションを失って、ここまで来た姿とか。柔道の相手を称える『道(どう)』という感じも素晴らしい」

 4回出場した五輪。引退後に初めて携わったのが12年ロンドン五輪の解説だった。驚いたのは世界中から報道陣が集まるメディアセンターの規模。引退して気づいたことがあったという。

「僕たち選手が主役だと思っていたけど、メディアセンターの方がデカい(笑)。やはり僕たちは、誰も知らないひっそりとした山奥で競技をやっていても誰も感動しない。それを伝える人がいてビジネスになり、初めて価値を生んでいる。そこは選手時代には実感できなかった」

 選手の姿を見る、感動する人がいて付加価値が生まれる。綺麗事だけではなく、「お金」がないと大会自体が成り立たず、選手も生きていけない。今もなおスポーツに携わる者として、この関心を継続させていくことを大切にしている。

「今回の東京五輪に向けて、いろいろな人が“旨味”を手に入れようと協力してやっていたかもしれません。その旨味がなくなってしまい、これからスポーツに落ちるお金、注目が減るのはすごく怖い。東京五輪までは選手たちもイケイケドンドンでスポンサーがつくこともあったのですが、このあと厳しい時代が来るのかなと。

 選手たちも頑張らないといけないですし、僕たちもスポーツの力を存分にみなさんに知っていただかないといけない。オリンピックに関わってきた人間としては、やはり素晴らしさ、その価値は伝えていきたいと思っています」

 様々なリスクを伴って開催された世界最大の祭典。過去は変えられない。大人たちは最大限の意味を持たせ、未来をつくることが求められる。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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