憧れた後輩3人が明かす松田直樹伝説 泣かされた水沼宏太「でもそれが大切な思い出」
体現した「サッカーへの厳しさ」、紅白戦で味方の選手に真剣に言った「削れ!」
――練習中の出来事で印象的なエピソードはありますか?
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
金井「ヨーヨーテスト(持久力を計測するテスト)が忘れられない。マツさんはスタートでフライングして、ほかの選手がスタートするくらいにはもう向こう側のラインを折り返しているのですれ違いました」
アーリア&水沼「それは盛りすぎでしょ!(笑)」
金井「いやいや、本当だから! それなのに『オレよりも走れていない若手がいるのかよ!』ってみんなに聞こえるように叫んでた」
水沼「マツさん、めちゃくちゃズルしてるのに(笑)」
金井「涼しい顔でそういうことをやるからすごい」
アーリア「紅白戦で自分がサブ組の時は、味方の選手に向けて『(レギュラー組を)削れ!』って真剣に言っていたよね」
金井「今の時代にはあまりない発言だけど、サッカーへの厳しさを体現していました。だから僕はとにかくマツさんの背中を追いかけました」
アーリア「今の若い選手に言っても響かないことかもしれない。でもプロとして生き残っていくためには、絶対に自分自身を強く表現しないといけない。それを教えてくれていたのかな」
水沼「練習ではとにかく周りとぶつかる人だったよね。それこそ胸ぐら掴むくらいの勢いだった。でもやりっ放しではなくて、その次を教えてくれました。印象に残っているのは『オレが若手の時はもっと先輩に対して言っていたし、練習や紅白戦で削っていた。だからお前たちももっとガンガンやってこいよ』という言葉。ただ最後は『でも、オレもやり返すからな』と言って顔は笑っていたけど目は笑っていなかった(苦笑)」
金井「ある時『言い返して来いよ!』と怒られた。それで本当に言い返すと、もっとボコボコに言われて(笑)。そのやり取りが幸せだったなぁ」
水沼「怖かったなぁ」
金井「怖いけどカッコいいのよ」
アーリア「うん、めちゃくちゃカッコ良かった」
水沼「プロサッカー選手はこんなにカッコいいんだぞ、と常に意識していたのがマツさんでした。乗る車も来ている洋服も、あとはピッチ内外での立ち居振る舞いも。僕たちが少年時代から日本の第一線で活躍していた選手だから、すべての言動が胸に突き刺さってしまって」