上野由岐子、同じ町出身の後輩記者に残る言葉 子供たちに無観客でも伝えたい389球の感動
熱を込めた先輩の言葉「諦めることなく前に」
実力はパッとしないままだったが、高校までソフトボールを続けた。憧れの人に触れて知った「ウキウキ」「楽しい」という感情を何度でも味わいたいから。少年時代のたった一度の触れ合いが、のちの人生にまで大きな影響を与えた。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
観客のいない五輪のスタンド。未来を担う子どもたちは、世界最高峰のレベルを肌で感じることができない。39歳になっても絶対エースとして4試合389球を投げた大投手。多くの若い選手と支え合いながら、一流のレベルを見せつけてくれた。13年越しの金メダルに導き、大粒の涙を流した試合直後。熱を持ってこんな言葉を伝えてくれた。
「これ(決勝の先発登板)が自分の背負っているものだと思っていたし、このマウンドに立つために13年間いろんな想いをしてここまで来られたと思う。投げられなくなるまで絶対に投げてやるって、そういう想いで今日は先発マウンドに立ちました。13年という年月を終えて、やっぱり最後、諦めなければ夢は叶うということをたくさんの方々に伝えられたと思う。ソフトボールは次回はなくなってしまいますけど、また諦めることなくしっかり前に進んでいけたらいいなと思います」
テレビ画面を通してでもいいから、子どもたちには選手たちが戦う姿を目に焼き付けてほしい。お父さん、お母さんには、アスリートが人生を懸ける尊さを教えてほしい。こんな状況下で開催された五輪に、最大限の意味を持たせるために。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)