「人生、置きにいかない」 松田直樹、没後の「今もライバル」佐藤由紀彦が愛した生き様
「10年経った今なお寂しい。ただただ会いたい」
信じられない以外の言葉がなかった。当時所属していた長崎から葬儀に参列し、ずっと放心状態でしばらく何も考えられなかった。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
あれから10年。生きていれば、指導者になっていた気がする。そういう時、直樹だったらどういう言葉をかけ、選手を鼓舞していたんだろう。凄く興味があるし、聞きたかった。あれだけのカリスマ性があったから、相当な監督になっていただろうな。
「松田直樹メモリアル」財団としても、今は河合と天野、そして直樹のお姉さんが中心に動いている中で、AEDをもっといろんな場所に設置してもらい、倒れている人がいて、実際に使えるかどうか。使えなくても、大声を出して呼ぶ、見て見ぬふりをしない。
本当にちょっとした何秒かが生死を分ける。行動することを怖がらない。それを少しでも発信することが使命の一つと思っている。
僕としては直樹が生きられなかったサッカー界で監督になることが目標。それはずっと言い続けてきて、今も変わらない。加えて「生き続ける」ということにフォーカスすることが、彼へのメッセージ。
いまだに「直樹だったらどう言ってくれるんだろう」と感じるように、自分がこうやって躍動することで、その姿が天国に届いてくれる気がするので、その想いはこれからも持っていきたい。
今、会ったらなんと言われるだろう。「老けたな」「黒いな」。この2つだろうな(笑)
それでも、10年経った今なお、寂しい。ただただ会いたい。そう思っている。
FC東京コーチ
佐藤由紀彦
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)