冬のフィギュア選手は夏に何してる? 中野友加里が語るフィギュア界のオフシーズン
休みが少ない日本人選手、海外振付師は驚き「あなた、休まないの?」
――氷の上のスポーツであるフィギュアスケートの「陸トレ」はなかなか見えにくい部分ですね。具体的にどんなことをしているのですか?
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「私の場合はいろんなことをやったのですが、新横浜を拠点に練習していたので、近くに日産スタジアムがあり、1周1キロを選手みんなでランニングしたり、坂道をダッシュしたり、あとはトランポリンに挑戦して跳ぶ感覚を養ったり。スケートは左回転はしやすいですが、右回転は苦手。なので、両利きになって体のバランスを取れるようになるためにボール投げをしたり、いろんなことをしていました。トレーナーさんもついて、スケートで強化しなければいけない腹筋や体幹は週3日くらいトレーニングしていました」
――前編では世界選手権から帰国2日後には練習を始めていると聞きました。スケーターはオフシーズンも本当に休みがないんですね。
「そうですね。ただ、海外の選手は『バカンスに行ってくる』と言って、1~2週間空けて釣りをしたり、バーベキューしたりという方もいましたし、日本の中でも休む選手はいると思うので、人それぞれかなと思います。だから、海外の振付師の先生に『あなた、休まないの?』と驚かれましたね。『日本の選手はみんなすごい練習するんだね』と」
――中野さんの感覚からすると1週間のバカンスは信じられなかったのではないですか?
「ホント、その通りです! 1週間も靴を履かないなんて怖くてしょうがなかったです(笑)」
――24歳まで長いキャリアを積みましたが、その中でうまくいったオフ、うまくいかなかったオフはありますか?
「後者が21歳で迎えた2006-07年のシーズンです。その前のシーズンがすごく上り調子だったので、たくさんのアイスショーからオファーをいただきました。アイスショーは自分から出たいと言って出られるものでもなく、依頼が来るのはうれしいし、名誉なこと。なので、すべてのオファーを受けて次から次へと出てしまいましたが、ショーも練習ではないので、それなりに疲労があって回復まで時間がかかるんです。
その年は8月までショーに出ていたため、翌月のシーズンインに練習量が間に合わなくなってしまいました。グランプリ(GP)シリーズは2試合とも満足いく結果を残せず(2、3位)。本当はシーズン中にあまり練習量を増やしてはいけないのですが、なんとか体力でカバーして練習量を増やし、世界選手権につなげることはできました。私の中で勉強になったシーズンです」
――次の年はアイスショーの出演を極力抑えたそうですね。
「うまく調整できたオフでした。オフシーズンは陸トレと氷上練習を増やして、なるべく良い練習をしようと意識したおかげでうまくいき、良い状態でシーズンを迎えられました。不安を残したままシーズンインしてしまうと、やはりそれは大会に出てしまうもの。アイスショーで得られる経験も大切ですが、不安を残さず、やり切ったと言えるところまで練習を積むことで自信がつくのではないかと経験上、思いました」