松井大輔流、異文化への溶け込み方 最大の武器は歌&下ネタ「何度助けられたか…」
サッカー界ではいまや常識? 世界共通のマスト話題は“下ネタ”
世界共通といえば、下ネタも欠かせないマストアイテムですね(笑)。僕はフランスならフランス語、ロシアならロシア語というふうにその国の公用語で下ネタを言えるように勉強して事前に仕込んでおきます。それを練習前後のリラックスした雰囲気の時に披露すれば、すぐに肩を組んで笑い合える関係を築ける。特に経験値の低い若い選手にとっては大きな突破口で、僕も何度下ネタに助けられたか分かりません(苦笑)。
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この下ネタも含めて、海外生活ではやはり言語の壁を突破することがとても重要になります。言語を習得するには、とにかく一緒に食事をする機会を増やすなどピッチ外でフレンドリーな関係を築くのが手っ取り早い。そのために僕は普段から笑顔を意識して過ごし、自分から積極的に仲間のコミュニティへ飛び込んでいきました。チームメートの家族と一緒にホームパーティーを開催して盛り上がり、その国の文化を知り、とにかく笑ってふざけ合うことがピッチ内での信頼につながっていきます。
幸い僕自身はもともとのパーソナリティのおかげもあって、積極的に自分からチームの中へ飛び込んでいける性格だと思います。ポーランドではサポーターの人たちと仲良くなって、そのリーダー格の人の家に招かれたり(笑)。海外でプレーしている時は日本を代表しているという感覚で過ごして、とにかく目の前の状況を全力で楽しむことが自分自身を好転させる最大の秘訣です。
ただし成功体験ばかりではなく失敗談もあります。2度目のポーランド移籍になった2017年のオードラ・オポーレでは外国籍選手枠が1人だったということもあって、なかなかチームに溶け込めずに苦労しました。最初に出場した試合で良いパフォーマンスを見せることができず、仲間たちからの信頼をなかなか勝ち取れませんでした。
時間が経って思うのは、それだけが原因ではなかったということ。当時の僕は「ポーランド2部なら活躍できて当たり前」と自分の力を過信し、自らチームの中に入っていく努力をしませんでした。ポーランド語を覚えようとはせず、頑なに伝わらない英語で話しかけていました。実際のプレー面でも地盤が緩いピッチコンディションに戸惑い、持ち味であるドリブルがほとんどできない状況でした。それまでのキャリアや実績が無駄なプライドを生んでしまい、パスを出してくれる仲間を作ることができなかったのです。結果として在籍期間は半年未満でした。
その状況を未然に防ぐために最も大切なのは、結果を残すことです。自分が必要な存在であることをピッチ内でのパフォーマンスや結果で示し、信頼される状況を作り出してしまえばいい。人によっては僕のようなフランクな性格ではなく、どちらかというと控えめで内気な性格の人もいます。そういったタイプの選手にとっては、結果によって周りからの見る目を変える作業をすることがより重要になってきます。