リレー銀を支えた日本のバトン技術 “必然”だった37秒台
陸上男子400メートルリレーで過去最高の銀メダルに輝いた日本。チームがこだわってきたのが、バトンを受け渡すテイクオーバーゾーン(20メートル)に前後10メートルを加えた合計40メートルのタイムを3秒75以内にすることだった。
400メートルリレーで初の銀メダルに輝いた日本
陸上男子400メートルリレーで過去最高の銀メダルに輝いた日本。チームがこだわってきたのが、バトンを受け渡すテイクオーバーゾーン(20メートル)に前後10メートルを加えた合計40メートルのタイムを3秒75以内にすることだった。北京五輪で初の銅メダルを獲得した時と同じ目標で「バトン効率」を追求し、快挙につなげた。
メダルの手応えは感じていた。バトンが効率よく渡っているか、その指標となる40メートルのタイムが「練習で3秒6台を連発していた」(土江寛裕短距離副部長)からだ。北京銅メダルメンバーが目指した設定タイムをクリアできれば、100メートル10秒01の桐生、同10秒05の山縣らの走力で37秒台は間違いない水準だった。
日本の代名詞と言えるアンダーハンドパスにも改良を加えてきた。当初は互いが接近して渡し、バトンミスを減らすのが目的だったが、現代表は腕を伸ばして利得距離(バトンを渡すことで走らなくてもすむ距離)を稼ぐ応用もきかせていた。第2走者の飯塚が「渡してくれると信じて思い切り出られた」と言うように、バトン精度が高いことで各走者の出足も良くなった。緻密なバトンが五輪銀メダルをもたらした。
【了】
ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images