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尾川堅一に敗戦 ファーマーが直撃取材で不満露わ「俺がファイトを支配していた」

来年再戦を要求「今すぐにでもリマッチがしたい。日本に行っても構わない」

「もっとアグレッシブに行くべきだったとは思わない。ファイトが本当に接戦で、僅かに及ばなかったとしたら『もっと手を出すべきだった』『山場を作るべきだった』と考えただろう。ただ、俺たちの試合ははそういう内容じゃなかった」

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 ファーマーはそう述べたが、同じように感じた関係者がどれだけいただろうか。2000年以降は18連勝で初のタイトル戦に辿り着いたサウスポーは、確かなスキルを持った実力者ではあるが、やはりパワーと決め手に欠ける。初の世界タイトル挑戦まで30戦を要したのは、そのアピール不足によるところが大きかった。そして、尾川とのファイトでもその印象は大きくは変わらなかった。

「すぐにでもリマッチがしたい。即座の再戦が行われるべきだと思う。来年に再び尾川と対戦し、今度こそタイトルを勝ち取りたい。まずはIBFの判断を待ち、ダイレクトで再戦ができるなら日本に行っても構わない」

 筆者とのインタビューの最後に、ファーマーはほとんど嘆願するような口調でそう述べた。しかし、アメリカ国内での商品価値も高いとは言えないファーマーに、尾川サイドが早期リマッチの機会を与える可能性は高いとは言えないのではないか。だとすれば、世界戦を再び実現させるには、今後も勝ち続けて地道にランキングを上げ、指名戦を待つ覚悟が必要になってくるかもしれない。

 4月に右腕二頭筋を痛めてブランクを作り、7月には銃撃事件に巻き込まれて右手を痛めるなど、2017年のファーマーは波乱の日々を過ごした。その1年の最後についに巡ってきた世界タイトル戦で、無念の判定負け。尾川の栄光の影で、アメリカの苦労人はもうしばらく雌伏の時を過ごすことになりそうだ。

(杉浦 大介 / Daisuke Sugiura)

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杉浦 大介

1975年、東京都生まれ。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、ボクシング、MLB、NBAなどを題材に執筆活動を行う。主な著書に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)、「イチローがいた幸せ」(悟空出版)。

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