尾川堅一に敗戦 ファーマーが直撃取材で不満露わ「俺がファイトを支配していた」
今年の日本ボクシング界では多くのハイライトが生まれたが、12月9日に尾川堅一(帝拳)が成し遂げたアメリカでの世界奪取も間違いなく、その中に含まれるはずだ。ただ、収まりがついていない選手がいる。戦前は絶対有利と目されながら、初のタイトル奪取が果たせなかった27歳のファーマーだ。
判定負けから3週間、未だ収まらず「『判定を盗まれた』という形容がぴったり」
今年の日本ボクシング界では多くのハイライトが生まれたが、12月9日に尾川堅一(帝拳)が成し遂げたアメリカでの世界奪取も間違いなく、その中に含まれるはずだ。
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ラスベガスのマンダレイベイ・リゾート&カジノ内にあるイベンツセンターで、尾川はテビン・ファーマー(米国)とのIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦に判定勝ち。アメリカでの世界王座奪取は、日本人としては1981年以来、史上5人目のことだった。試合自体も好打を応酬し合うなかなかの好ファイトで、ベガスの大舞台で尾川が存在感を示したことは快挙だったと言っていい。
ただ、収まりがついていない選手がいる。戦前は絶対有利と目されながら、初のタイトル奪取が果たせなかった27歳のファーマーだ。
「俺がファイトを支配していたと思う。12ラウンド中の9回か、少なくとも8回は取っていたはず。『判定を盗まれた』という形容がぴったり。どんなに相手に甘く採点したところで、あの試合で尾川が12ラウンド中7ラウンドを取ったとは考えられない」
12月28日、電話インタビューに応じたファーマーはそうまくし立てた。
2-1(116-112、115-113、112-116)の“スプリット・ディシジョン”という判定結果が示す通り、実際にタイトル戦は紙一重の大接戦だった。米国内で試合中継したHBOの非公式ジャッジをはじめ、ファーマーが勝っていたと見た関係者が少なからず存在したのは事実。ただ、際どいラウンドが多く、どちらが優勢だったかは意見が分かれるにせよ、“いずれかが支配していた”と言えるような内容には思えなかった。
筆者も後に映像を見直したが、得意の右ストレートを丹念に繰り出し続けた尾川の勝利で特に問題はないと考えた。クロスファイトの際には互いが勝利を主張するのはこのスポーツの常。しかし、今回の試合内容で、“9ラウンドは取っていた”というファーマーのセルフ・ジャッジは少々甘すぎる感は否めない。