【金J特集】連覇か王座奪還か 栗原勇蔵が「何だ、この人」と感じた中村憲剛のすごさとは
両チームともに意地とプライドを懸けた“神奈川ダービー”
――実際にお二人が対戦されてきた“神奈川ダービー”とは、どういった意味合いを持つダービーなのでしょうか。
中村 「F・マリノスはずっとJ1にいたクラブで、俺が衝撃的だったのはJ2で優勝してJ1に上がる2004年にF・マリノスは浦和レッズとチャンピオンズシップをホーム&アウェイで対戦したんです。あれを見て、『来年このチームと対戦するんだ』ってビビったんだよ。すごく格上感があって、でもめちゃくちゃ負けたくない思いが強かった。逆に、F・マリノス的にはどうだったの? うちは上がってきたチームだし、そんなに気にはならなかったでしょ?」
栗原 「当時はまだコンスタントに試合に出ていたわけじゃなかったけど、フロンターレのことを格下だと思ったことは一度もなかったですよ。ただ、最初から普通に強かった。だから一番嫌な思い出があるというか、仮に『どのチームが嫌だった?』と聞かれたら、間違いなく『フロンターレ』って答えるぐらい相性も良くなかったし、大事な試合で結構やられていた記憶があるね」
中村 「ああ、2013年のF・マリノスの優勝が懸かっていた試合ね」
栗原 「そこもそうだし、JリーグYBCルヴァンカップとか、天皇杯もそうだしね」
中村 「フロンターレには『F・マリノスに勝ちたい』という思いが常にあって。いい意味でライバル心が自分たちのなかにあった。“神奈川ダービー”って言われていたし、多分、俺らのほうが勝ちたい気持ちが強かったかなって思うね」
栗原 「逆に聞きたいんですけど、“神奈川ダービー”の他にフロンターレにはFC東京と対戦する“多摩川クラシコ”っていうダービーもあるじゃないですか? あれってフロンターレにとってはどっちが大事なんですか?」
中村 「え? それ聞く?(笑)」
栗原 「もちろんF・マリノスにも横浜FCとの“横浜ダービー”があるんですけど、これまで横浜FCとの対戦回数は少なく、僕らにとっての“ダービー”ってフロンターレとの試合のほうが多かったんですよね。だけど、 “多摩川クラシコ”って毎年やっているじゃないですか? それで“多摩川クラシコ”のほうが盛り上がっている感じがしていて」
中村 「それは歴史がそうさせているんだと思うよ。だってJFLのときからの対戦だから」
栗原 「あ、そうか」
中村 「東京ガスと富士通時代から同じカテゴリーで戦ってきているので、そこの差はちょっとあるのかもしれないね。でも、実際に対戦しているときは、どっちも『ヨッシャー!』っていう気合いが入っているので比べられません!」
栗原 「いや、そこをあえてどっちかって言ったら……」
中村 「おい、やめろよ(笑)! どっちにも負けたくないし、勝ちたいという思いは同じだよ」
栗原 「そうなんだ。なんか“多摩川クラシコ”のほうが盛り上がっている感があったから……」
中村 「多分さ、“多摩川クラシコ”っていう名前がそうさせているんじゃないかな」
栗原 「確かにそうかもしれないですね」