【金J特集】連覇か王座奪還か 栗原勇蔵が「何だ、この人」と感じた中村憲剛のすごさとは
18年間、常にライバルとして戦い続けた両者の印象とは
――現役時代はお互いに同じ神奈川県をホームタウンに持つライバルとして過ごされてきましたが、お互いのプレーの印象はどうだったんでしょうか?
中村 「勇蔵は、ボンバー(中澤佑二)とのCBで本当に厄介な存在でしたね。堅守F・マリノスの代名詞みたいな2人だったので」
栗原 「当時は引いて守っていましたからね(苦笑)」
中村 「そこを崩すのは毎回苦労していたし、身体能力も高いので、年を重ねるごとに安定していった印象がすごくあって。すごくやりにくかった印象です。彼らをどう超えていくか、どう突破していくかを常に考えていましたね」
栗原 「だいぶ突破されましたけどね(苦笑)」
中村 「そりゃあ考えましたからね、いっぱい」
栗原 「一番やられたんじゃないかな。ダントツに嫌な存在でしたからね」
中村 「だって攻められたくないだろうなっていうところを、あえて攻めていたからね」
栗原 「それは分かっていました。憲剛さんは技術が高いのはもちろんだけど、意外にスピードがあって、『何だ、この人』って何度思ったことか。あれはターンが速いのかな?」
中村 「少ない面積でターンするのを意識していたね」
栗原 「頭を使って、こっちが嫌がることをすごくしてきたイメージです。本当に嫌な人なんですよ(笑)」
中村 「ハハハ。そう言われるのが自分の役割ですからね」
栗原 「そのうえで、いいFWをうまく使って、さらに嫌なところを突いてくる。本当に対戦するのが憂鬱でしたよ」
中村 「そんなに?」
栗原 「だって憲剛さんって攻撃の選手じゃない? だから『やってやろう!』って感じできて、『やってやった!』って感じで終わるじゃないですか」
中村 「そういうときもあれば、逆に『やられた!』『守られた!』ってときもあったよ」
栗原 「攻撃的な選手って常に挑戦者のイメージなんですよね。でも、俺は守備の選手だから守らないといけないわけで、なのに『やられたわ』って感じがすごくあって。だから『守り切ってやった!』と感じたことはほとんどないですね。フロンターレ相手に理想的な試合ができたことなんて1、2試合ぐらいしかなかったと思います。その中心にいたのが、この嫌な人だったから(笑)。夢に出てきたことがあったかもしれないぐらいですよ」
中村 「それは最大の賛辞です。ありがとう!」