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トップリーグ展望【後編】タレント軍団・神戸製鋼、パナソニックが激突…ホワイトカンファレンス

最終シーズンを迎えるラグビートップリーグ(TL)の展望、注目選手を紹介する開幕特集の後編は、優勝候補ひしめくホワイトカンファレンスにフォーカスを当てる。新型コロナ感染の影響で昨季は実現しなかった優勝候補の直接対戦など、注目カードが目白押しのカンファレンスをトップ通過するのはどのチームか。そして、脚光を浴びる強豪、大挙して来日した世界のレジェンド、日本代表勢にも負けない、可能性と個性を輝かせるチーム、選手にもスポットライトを当てる。(文=吉田宏)

神戸製鋼に新加入するニュージーランド代表のベン・スミス【写真:Getty Images】
神戸製鋼に新加入するニュージーランド代表のベン・スミス【写真:Getty Images】

ラグビーを追い続ける吉田宏記者のコラム、後編はホワイトカンファレンスの注目チーム、選手を紹介

 最終シーズンを迎えるラグビートップリーグ(TL)の展望、注目選手を紹介する開幕特集の後編は、優勝候補ひしめくホワイトカンファレンスにフォーカスを当てる。新型コロナ感染の影響で昨季は実現しなかった優勝候補の直接対戦など、注目カードが目白押しのカンファレンスをトップ通過するのはどのチームか。そして、脚光を浴びる強豪、大挙して来日した世界のレジェンド、日本代表勢にも負けない、可能性と個性を輝かせるチーム、選手にもスポットライトを当てる。(文=吉田宏)

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 ホワイトカンファレンスの最大の注目ポイントは首位争い。6節で中断された昨シーズンに全勝を守った神戸製鋼コベルコスティーラーズとパナソニックワイルドナイツが、このカンファレンスに“同舟”している。昨季に続き開幕から共に全勝をキープできれば、昨季は中断のために実現しなかった直接対決(第6節)が、リーグ戦のハイライトになる。

 2018-19年シーズンを制した神戸製鋼は、昨季も含めた最近の2シーズンは総得点でトップ、総失点の少なさでもリーグ1、2位の数値を残してきた。2003年のTL元年の優勝以降、王座から見離されてきたが、ニュージーランドラグビーの頭脳とも称されるウェイン・スミス元同代表HCが18年に総監督に就任したのがターニングポイントになった。

 前シーズンまでにチームが培ってきた大型FWのパワーを生かしながら、故平尾誠二氏らが築いた黄金時代のボールを積極的に空いているスペースに運ぶラグビーにも通じる、常に選手が動きながらボールを継続するアグレッシブなスタイルを再構築して王座を奪還した。その改革はグラウンド外にまで及び、神戸製鋼の本業である製鋼所としての歴史や誇りをチーム理念にまで落とし込み、チームアイデンティティーを刷新してハード、ソフトの両面で「勝つチーム」を作り上げた。

 このウェイン・ラグビーをピッチ上でタクトを振った元ニュージーランド代表SOダン・カーターの離脱は大きなマイナスだが、同じくニュージーランド代表50キャップ、2011年W杯優勝メンバーのSOアーロン・クルーデンを獲得。さらに同代表84キャップを誇り、ボールを持てば必ずチャンス、トライを生み出す経験豊富なFBベン・スミスも加わり、攻撃力の厚みを増している。

 国内勢も、PR中島イシレリ、CTBラファエレ・ティモシー、FB山中亮平とW杯ベスト8メンバーが円熟期を迎えている。パワーランナーNO8ナエアタ・ルイ、前回W杯では力を出し切れなかったWTB/CTBアタアタ・モエアキオラら2023年W杯へ期待の選手がひしめき、35歳のPR山下裕史、33歳のSH日和佐篤共同主将ら代表経験豊富なベテランがチームをサポートする。選手層ではリーグ屈指の厚みを誇る。

 その神戸製鋼に肩を並べるポテンシャルを持つパナソニックは、4シーズン遠ざかるリーグ制覇にターゲットを据える。今季のチームが目指すスタイルが色濃くでたのは、1月に行われたサントリーとの練習試合だ。ライン防御で思い切り前に仕掛けて、サントリー自慢の展開力に重圧をかけ続けた。しぶとい防御で相手ボールを奪い、カウンターアタックからトライを狙う全盛期のスタイルを取り戻すかのようなプレーを、公式戦でも上位相手に見せることができれば、目指す順位が見えてくる。

 中心メンバーは、日本代表の中枢でもあるPR稲垣啓太、HO堀江翔太ら昨季までと変わらない。医学部挑戦のために今季がラストシーズンと位置付けるWTB福岡堅樹の快足も健在だ。W杯日本大会を制した南アフリカの中心選手で、昨季はパナソニックでもチャンスメーカー兼フィニッシャーとして活躍したCTBダミアン・デアリエンディの退団は大きいが、昨季も活躍したCTBディラン・ライリーは対戦相手にとっては要警戒選手。アングルをつけたコース取りで相手防御を崩すラン、コンタクトする時のボディーコントロールも一級品だ。昨季6試合で3トライを奪った決定力も光るが、相手防御の裏に出て福岡らにチャンスボールを供給できれば、チームの得点力アップに繋がるはず。23歳という若さは、将来の日本代表としても期待したい。

 ニュージーランド代表121キャップのLOサム・ホワイトロックの“後釜”には、イングランド代表のW杯準優勝メンバーだったLOジョージ・クルーズ、デアリエンディの穴はウェールズ代表のCTBハドリー・パークスが埋める。南半球からブリテン島勢に選手補強のシフトを替えた効果がどう出るかも、チームの浮沈に影響するだろう。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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