日本の勝利至上主義、トーナメント制、甲子園 ラグビー名将エディー氏がそのすべてを語る
「THE ANSWER」が各スポーツ界を代表するアスリート、指導者らを「スペシャリスト」とし、第一線を知る彼らだからこその視点でスポーツ界の話題について語る連載「THE ANSWER スペシャリスト論」。スペシャリストの一人として、ラグビーの世界的名将として知られるイングランド代表ヘッドコーチ(HC)、エディー・ジョーンズ氏がラグビー界のトレンドから自身の指導論まで、定期連載で明かす。
「THE ANSWER スペシャリスト論」ラグビー指導者 エディー・ジョーンズ
「THE ANSWER」が各スポーツ界を代表するアスリート、指導者らを「スペシャリスト」とし、第一線を知る彼らだからこその視点でスポーツ界の話題について語る連載「THE ANSWER スペシャリスト論」。スペシャリストの一人として、ラグビーの世界的名将として知られるイングランド代表ヘッドコーチ(HC)、エディー・ジョーンズ氏がラグビー界のトレンドから自身の指導論まで、定期連載で明かす。
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今回のテーマは「日本の勝利至上主義とトーナメント制の是非」。日本人の妻を持ち、1996年に東海大ラグビー部コーチに就任して以来、サントリー、日本代表でもHCを務めるなど、日本とは深い縁で結ばれているエディー氏。現在、日本のスポーツ界で議論が沸き上がっている勝利至上主義の是非について、長年の指導とともに日本で活動した経験も踏まえながら、独自の視点を語った。(取材・構成=THE ANSWER編集部・佐藤 直子)
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日本では近年、勝利至上主義の是非について議論が沸いていると聞きました。各スポーツで採用されているトーナメント制が勝利至上主義を助長しているのではないか、という声も聞こえてきます。
大前提として、試合で負けたいと思う人はいないでしょう。誰もが勝ちたいと願っているはずです。そして、私は全国規模のトーナメントが開催されることは何の問題もないと思っています。各地の代表となったベストとされる選手たちが、互いに対戦するチャンスがあることは素晴らしいこと。さらなる成長にも繋がります。
ただし、大事なのは「選手が今、どのステージにいるか」ということ。小中学生のようなジュニア期の選手たちは、勝利よりも育成・成長にフォーカスが当てられるべきであり、そのためには日頃はリーグ戦を行いながら、学びの機会を増やしていくべきだと思います。
子どもたちが基本的なスキルを磨いたり、競技の楽しさを知ったりするためには、負けたら終わりのトーナメント戦よりもリーグ戦の方が適したスタイルです。勝っても負けても、子どもたちは何かを学びます。勝敗に対してどんなリアクションを見せ、対応するか。
この過程もまた、子どもたちを成長させますし、チームとしてプレーする醍醐味も知るでしょう。