生理と重なった五輪 伊藤華英が語る、女子アスリートと思春期の付き合い方
2020年に東京で開催を迎えるオリンピック。近年は女性の参加数が増加し、今や男女比は半々に近づいている。第2回の1900年パリ大会で初めて参加が認められ、以来、日本でも多くの女性のメダリスト、国民的スターが誕生。しかし、女性が競技をやり抜く裏には、女性特有の問題が付いて回り、向き合わなければならないことがある。その一つが、思春期だ。
【連載・前編】競泳五輪代表・伊藤華英さん、日本が考えるべき「女子選手の思春期問題」
2020年に東京で開催を迎えるオリンピック。近年は女性の参加数が増加し、今や男女比は半々に近づいている。第2回の1900年パリ大会で初めて参加が認められ、以来、日本でも多くの女性のメダリスト、国民的スターが誕生。しかし、女性が競技をやり抜く裏には、女性特有の問題が付いて回り、向き合わなければならないことがある。その一つが、思春期だ。
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10代中盤から後半にかけ、体つきが変わる。結果、体型を維持するのが難しかったり、思うように活躍できずに伸び悩んだりといった課題に直面する。なかでも、生理の問題は避けて通れない。競技をする上でどう付き合うべきか。もし、勝負の大会で重なったらどうするべきか――。
「北京五輪の時は、競技期間と重なってしまいました。正直、どうしようという思いでした」
こう打ち明けてくれたのは、元競泳の伊藤華英さんだ。背泳ぎで高校時代から頭角を現し、競泳界のヒロインの一人として活躍。長年、日本の第一線を走り続け、北京、ロンドンと2度の五輪を経験した。そんな名スイマーが、ほかの女性アスリートと同じように生理の問題にぶち当たったのは、15~16歳の頃だった。
「高校生から練習量も増える。同時に18、19歳にかけて女性の体になり、ホルモンバランスが確立していく。いつ、体がしんどくて、いつ、気持ちが落ちるのか。初めての経験で、自分のルーティーンがわからないことが辛かった。気づいたら勝手に体重が増えていたり、周りにイライラをぶつけてしまったり、そんなこともありました」
当時をこう振り返った伊藤さん。日常的に練習をする上で、生理が及ぼす影響はどこにあるのか。
「一番はメンタル面。なぜ、イライラしているのかわからないとネガティブになる。肉体面にも変化は起こる。0.01秒の世界に生きていると、ちょっとした感覚のズレに敏感で『いつもと違う』って気づく。『肩、おかしいのかな』とか。生理前は関節が緩くなることがあり、妊婦さんも産む直前は骨盤を開こうとするので、関節が柔らかくなるといいますが、同じ現象が起こります」