「日本に恥をかかせるわけにいかない」 ジーコが“世界”に示し続けた愛情とプライド
ドイツ代表監督に「つまみ出せ!」と激怒…ジーコが愛された理由とは
長くジーコと一緒に過ごしてきた鈴木圀弘通訳が、「日本に恥をかかせるわけにはいかない」が口癖になっていたと教えてくれた。
2004年12月に横浜国際総合競技場で行われた親善試合のドイツ戦(0-3)後の会見中には、勝ったユルゲン・クリンスマン監督が「バスの都合があるので、先にやらせてくれないか」と顔を出した。しかしジーコは血相を変えて、「つまみ出せ!」と怒鳴りつけていたという。当初から会見の順番は、日本が先と決まっていた。
ウクライナやハンガリー遠征の際にも、不可解なジャッジには日本のために激昂し、食ってかかった。それはJリーグ元年の1993年チャンピオンシップで、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)へのPKの判定に抗議を込めて、ボールに唾をかけた気概と通じるものがある。
すべてが誉められることではないかもしれない。しかしこうしてジーコは、とことんチームを愛し、全力を傾注し、どんなことをしてでも勝利に導こうとしてきた。
それは常勝鹿島の原点でもあり、ジーコが愛される理由でもある。
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加部究●文 text by Kiwamu Kabe