差別に泣いた少年時代 東京目指す、最強パラスイマーが「障がいは個性」と思えるまで
笑うことの重要性を胸に東京へ「新しい歴史を作り変えたい」
「いつも僕は笑うこと、ポジティブであることを考えています。スポーツでも、他のことでも同じようなことが起きるし、できるだけ大変なことも学びというものに変えて、いつも笑っていられるように。『昨日よりも今日がいい』という風に考えるようにしています」
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順調に見える競技キャリアだが、挫折も数多く経験している。そんな時も決して下は向かない。頬を緩ませ、明るく笑う。笑顔がポジティブ思考につながり、状況を打開する鍵になると信じている。
「夢は叶う」。力強く語るディアスだが「夢に到達するには非常にたくさんの努力と、涙ぐましい大変な思いは必要」とも力説する。自身4度目となる夢舞台は東京。2年前にも訪れ、好印象を持った地だ。
「間違いなく日本にまた戻りたいと思っています。すごく日本の印象は良かったです。特に印象に残っているのが、オリンピックとパラリンピック、両方同じように日本がプロモーションをしているところ。全く違いがないように感じました。
東京がパラリンピックをホストするために大変準備が整っているというのも見受けられました。私もすごくうれしく思いますし、またぜひ日本に戻りたい。競技を行いたいという気持ちになります」
予期せぬ事態で1年延期となった東京大会。「延期が決まった時には調整もピークに達したところだったので、全部方向転換しなければならなかった。練習方法も変わりました」。こんな時でも“ポリシー”の笑顔は絶やさない。
「新しい歴史を作り変えたいと思っています。来年の大会に向けて頑張っていきたい」
オンラインでの取材。画面越しに映る姿は常に希望に満ちていた。水中から上がってきた晴れ晴れとした表情を、来年の東京で何度も見られることに期待したい。
■ダニエル・ディアス
1988年生まれ、ブラジル出身。2005年、16歳で水泳を始める。わずか1か月半で4泳法を習得し、2006年の世界選手権で金メダル2つ、銀メダル3つを獲得した。2007年にはパンアメリカンに出場。2008年北京パラリンピックでは4つの金を含む9つのメダルを獲得した。2012年ロンドン大会では母国の旗手を務め、世界新記録6つを叩き出す。地元開催となった2016年リオ大会でも4種目で金メダルを獲得するなど、パラ大会の通算獲得メダル数を男子スイマーとして最多の24まで伸ばした。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)