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アスリート700人超の「うんち」収集 元日本代表MFが力説、腸内細菌研究の意義と“発見”

アスリートの腸内細菌を研究することで「一般の方の健康維持にも貢献できる」

 毎日トレーニングに励むアスリートは、当然一般人より体の状態や食事などに繊細に気を配る。便秘の予防に適度な運動が効果的なことは周知されてきたが、アスリートがいかに健康体なのかは、蓄積した腸内細菌の研究データからも着々と解き明かされている。

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「マスターズ陸上に参加する選手と、運動習慣のない一般高齢者の腸内環境の相違も分かってきました。一般的に高齢になれば、腸内で良くない菌が増え、逆に良い菌が減る傾向が見られます。しかしマスターズ陸上の参加者は良い菌があまり減っていませんでした」

 またアスリートは、腸内に免疫機能を整える酪酸菌を一般人の約2倍の割合で保有していることも判明。日本農芸化学会で発表した。

「僕の現役時代に、腸内細菌という言葉を知るサッカー選手は、ほとんどいませんでした。それならこれまで自分が生きてきたストーリーを辿っても、これが僕のやるべきことだと考えるようになったんです。この分野なら、アスリートを研究することで、ファンやサポーターの方々の健康維持にも貢献できる。一般の方々のヘルスケアや街作りにも繋がると思うんですよね」

 アスリートは選手寿命を延ばし長く活躍する。一方でそれを取り巻く人たちが、いつまでも健康で好きなスポーツ観戦を楽しむ。こうして街も活気づいていく。それが鈴木の描く幸せな未来像である。(文中敬称略)

[プロフィール]
鈴木啓太(すずき・けいた)

1981年7月8日生まれ、静岡県出身。東海大翔洋高校を卒業後、2000年に浦和レッズに加入。攻守を支えるボランチとしてレギュラーの座をつかむと06年のJリーグ優勝、07年AFCチャンピオンズリーグ制覇などのタイトル獲得に貢献した。15年の現役引退まで浦和一筋を貫き、J1通算379試合10得点を記録。日本代表としても28試合に出場した。現在は自ら設立したAuB株式会社の代表取締役を務め、腸内細菌の研究などを進めている。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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