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「なぜゴルフ選手はイップスになるのか」 “心の病”と闘い続けた北田瑠衣の経験談

活況を見せる女子ゴルフで浮かぶ様々な疑問に対し、ツアー通算6勝の北田瑠衣(フリー)が「THE ANSWER」の取材に応じ、プロ目線の答えを語ってくれた。全3回に渡ってお届けする第3回は「もしイップスになったら」。どんな一流選手でも突如なってしまう可能性のある“心の病”。そもそも、なぜ陥るのか。もし自分や周りの選手がイップスになったらどうすればいいのだろうか。

北田瑠衣が「イップス」になったときの経験談を語った【写真:Getty Images】
北田瑠衣が「イップス」になったときの経験談を語った【写真:Getty Images】

北田瑠衣に聞く女子ゴルフの疑問「もしイップスになったら」

 活況を見せる女子ゴルフで浮かぶ様々な疑問に対し、ツアー通算6勝の北田瑠衣(フリー)が「THE ANSWER」の取材に応じ、プロ目線の答えを語ってくれた。全3回に渡ってお届けする第3回は「もしイップスになったら」。どんな一流選手でも突如なってしまう可能性のある“心の病”。そもそも、なぜ陥るのか。もし自分や周りの選手がイップスになったらどうすればいいのだろうか。

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 いったい、なぜ……。昨日まで打てていたショットが想像もつかない方向に飛んでいく。アプローチでウェッジを振り抜けない。わずか数十センチのパットを入れられなくなった。経験したことがあるアマチュアの一般ゴルファーも多いだろう。

「イップス」。精神的なことが原因で起こる“心の病”とされている。明確な治療法はなく、ゴルフ以外の競技でも度々聞かれる症状だ。

 北田も“経験者”だった。2002年にプロ転向し、04年に初優勝を含む年間3勝。05年2月には、第1回女子W杯で宮里藍さんとペアを組んで優勝した。しかし、この時くらいから違和感を抱えていた。

 1メートルのパットが入らない。プロなら“入れて当然”とされる近さ。「ただ入らないのではなく、手が動かなかったり、少し痺れたり、インパクトで勝手に変な動きをする。軽いイップスのような感じになりました」。この年は31試合のうち予選落ちが15回。前年3位だった賞金ランクは60位となり、シード権を失った。

 きっかけは何だったのか。「アレルギーや花粉症ではありませんが、不安要素がいっぱいいっぱいになって爆発しちゃったんでしょうね」と自己分析する。悪いパットの記憶が重なり「それを払拭できなくなった」という。

「いいショットはあまり記憶に残らないんですよね。悪いショットの方が残るんです。性格なのかもしれませんが『このシチュエーションでシャンクしたよね』『このホール、よく池に入るよな』とか、ネガティブなことは残像が消えにくい。私の場合は短いパットの時に思わず外れてしまったのが、どんどん積み重なって心に来たのだと思います」

 まだ23歳だった。以降は順手からクロスハンドに変えたり、ボールへの目線を変えたり試行錯誤。ボールを見ずに打つなんてこともやってみた。「いろいろ試しました。でも、周りに悟られたくないから普通にしてました」と表には出さなかった。

 どうやって克服したのか。この問いに「結局、克服できないままです」と今も治ってはいない。だが、06年から再びシード権を獲得すると10年連続で保持。3勝を積み上げて見事に復活した。「優勝した時は、ショットが特によかったです。もちろん最後はパットが必要ですが、難しいシチュエーションはほとんどなかった」。ピンそばにつけて伸ばした。ストレスの溜まる微妙な距離のパットが少なく、イップスと付き合いながら優勝したのだ。

「今もゴルフをする機会がありますが、それ(症状)が減ってきた感じです。プレッシャーなんでしょうね。『外しちゃだめ』『プロだったらこれくらい入るでしょ』という距離が怖い。心の病気ですよね」

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