他に先駆け公式戦の再開決定 「スポーツが必要か?」に日本ラクロス協会が出した答え
スポーツの価値とは何か、ラクロスをする必要があるかについても議論
そしてもう一つ、議題に挙がったのが「スポーツの価値」だ。様々なリスクを比較検討する中で、「なぜスポーツが必要なのか、ラクロスをやる必要があるのか」という根本的な話し合いも行われたという。
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「スポーツは不要不急の代表格のように言われていましたが、本当に不要なのか。そこについては、協会という立場、チームという立場、個人という立場、そして社会の一員としての立場、いろいろな角度から捉えていかないと、こういう困難は乗り越えられないと思ったんです」
そこで協会が示したのが「ラクロスは私たち充実した人生を送るために必要なものであると信じること」という“道標”だった。
「みんな分かっているはずなんですけど、改めて言葉にして決めようと。ラクロス界のトップでもある協会が、そこに意味があると信じられていなければ、チームや個人はなかなか信じられないと思うんですよね」
ゼロリスクを求めない。ラクロスは充実した人生を送るために必要なもの。2つの指針から自ずと導き出された答えが「今季の公式戦再開」だった。
活動自粛、公式戦再開などの重要事項の意思決定に際し、ラクロス協会のフットワークは軽い。身軽に動ける要因の一つは、日本におけるラクロスの歴史に関係がありそうだ。
「ラクロス協会は歴史が浅くて若いので、しがらみが少なく、自分たちで議論して結論を出しやすい環境にあります。また、ラクロスをする人は高校まで別のスポーツをしていたのに、大学に入った途端、それを全部捨てて移ってきた人が多いので、変化や挑戦を好んだり、既存の権威に盲目的に従わない人が多いんです。1986年に日本でラクロスを始めたメンバーも大学1年生でした。若い人たちが自分たちで意志決定をしていくことがラクロスの良さだとみんなが知っているから、名選手がそのまま理事になってしまうというようなことも起きづらい。こういう環境にある我々が最初のアクションを取ることで、スポーツ界全体に一石を投じられたらと思いました」