【THIS IS MY CLUB】年俸一部返納は「簡単ではなかった」 宮澤裕樹主将の決断「札幌のために何ができるか」
札幌一筋13年目の自覚「タイトルへ向けて、自分が引っ張っていきたい」
札幌はリーグ優勝を照準に置いている。3年目にして見えてきたネクストステージに向けて、チームに必要なものとは何か。
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「今シーズンは、短い期間で数多くの試合をしていくことになる。連戦になれば、ふだん出場している選手だけでなく、チーム全体の力が試される。つまり、何ていうか……本当に、一人ひとりが力を出し切らないとタイトルは獲れない厳しいシーズンだと思っています。
でも、ここまで選手の入れ替わりがない年は、札幌としては本当に珍しい。それは、チームが選手を信頼してくれた証だと思うし、本当に皆が一つになって戦っていければと思う」
サッカー人として、この中断期間に得たポジティブな点をあげるとすれば何か? 宮澤はサッカーへの愛情を確認できたことだ、と間髪入れずに答えた。
「チームとして戦い、ボールをつないでいく楽しさ。勝利だったり悲しさだったりが一瞬一秒で変わり、それを分かちあえる仲間がいる。
自分がどれだけサッカーが好きなのか、試合がしたいのか。そしてサッカーがどれだけ素晴らしいスポーツか。それらを改めて感じられてよかったと思う。
しばらくはリモート観戦(や入場者数の制限がかかる)ですが、いつかまた満員の会場で観てもらう日がくる。それまではリモートで応援してくれるファンやサポーターに、自分たちのサッカーやサッカーの素晴らしさ、そして画面越しでもサッカーの持つ熱を伝えていきたい。このモチベーションを持ったまま、試合に臨みたいですね」
08年の加入以降、2度のJ2降格を経験した宮澤にとって、今J1でプレーしていることは当たり前ではない。その思いが、サッカーに対する情熱的な言葉ににじみ出ている気がした。
「高校を卒業してから一つのチームで13年目。J2の苦しい時代からプレーしてきただけに、チームに対する思いも強い。今はJ1でもタイトル争いに食い込むまでのチームになった。タイトルを獲る、というチームの目標に向かって、何とか自分が引っ張っていきたい」
三級浪高うして魚龍と化すか――。経験と自信、そして苦境を乗り越えたことよってより強く結ばれた信頼を装備し、札幌は初のJ1タイトルを目指す。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)