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間違いに気づくのは「怪我をしてから」 150km右腕が野球人生に残した一番の悔い

今、野球界で話題を呼んでいるオンラインサロンがある。「NEOREBASE(ネオリベース)」。ピッチング、バッティングを中心にした野球パフォーマンス向上を目的とした“野球研究所”は、今年1月に開設されると、徐々に評判が広がり、小学生年代からプロ野球選手まで200人以上が加入。そのうち、現役プロ野球選手は29人、メンバーもカブス・ダルビッシュ有投手、ソフトバンク・千賀滉大投手、楽天・則本昂大投手ら、一流選手がズラリと揃う。そんなサロンを運営するメンバーは4人だ。

オンライン対談を行った池田氏(左上)、小山田氏(左下)、内田氏(右上)、お股ニキ氏【写真:編集部】
オンライン対談を行った池田氏(左上)、小山田氏(左下)、内田氏(右上)、お股ニキ氏【写真:編集部】

ダル、千賀、則本ら参加で話題…オンラインサロン「NEOREBASE」の4人が対談第3回

 今、野球界で話題を呼んでいるオンラインサロンがある。「NEOREBASE(ネオリベース)」。ピッチング、バッティングを中心にした野球パフォーマンス向上を目的とした“野球研究所”は、今年1月に開設されると、徐々に評判が広がり、小学生年代からプロ野球選手まで200人以上が加入。そのうち、現役プロ野球選手は29人、メンバーもカブス・ダルビッシュ有投手、ソフトバンク・千賀滉大投手、楽天・則本昂大投手ら、一流選手がズラリと揃う。そんなサロンを運営するメンバーは4人だ。

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 早実、早大などを経て米独立リーグでプレーし、最速150キロを投げる「ピッチング・ストラテジスト(投球戦略家)」として活動する26歳の内田聖人氏。トレーナー出身で約20人のプロ野球選手に投球・打撃フォームの指導を手掛けている29歳の池田則仁氏。同じくトレーナー出身で自己最速152キロを誇り、専門的なトレーニングを研究している28歳の小山田拓夢氏。データ・映像解析を中心に「プロウト(プロの素人)」としてSNS上で情報発信し、著書もヒットしている野球評論家・お股ニキ氏だ。

 月額4000円(大学生以下は2000円)で誰でも参加できるサロン上で、4人は定期的に情報発信。「ピッチングの回転効率を上げる練習方法」「これさえできればイップスにはならない」「1か月で私の最速を146キロから152キロまで伸ばした種目5選」など、それぞれの視点から興味深いテーマでパフォーマンス向上にまつわる知見を共有している。しかし、トップレベルにいる現役プロ野球選手が、4人の教えを学びたがるのか。「THE ANSWER」はその秘密を探るべく、4人のオンライン対談を実施した。

 全3回の第3回は「私の○○は間違っていた」。内田、池田、小山田の3氏は現役時代の誤った知識、考えにより怪我、不調に陥った経験を持ち、それが現在の活動と情報発信のベースになっているという。それぞれが体験し、今、最も後悔していることとは。“しくじり先生”として次世代の選手にメッセージを発信した。

 ◇ ◇ ◇

――内田さん、池田さん、小山田さんともに選手としてプレーしていた時の怪我などが今の指導につながっていて、当時の経験を教訓に情報発信しているとのこと。まず、小山田さんは今もし戻れるとしたら、どの時代の自分にどうアドバイスしたいですか?

小山田「自分が一番後悔しているのは右肩を痛めた3年前です。早大を卒業した後、北海道のクラブチームでプレーし、最速152キロを記録したのですが、球を速くしたいという気持ちがずっとありました。肩は柔らかければ柔らかい方がいいだろうと思い、肩の全面的なストレッチをやったんです。そうしたら、肩の前側にある関節上腕靱帯が緩み切って、左足のハムストリングから腱を移植する手術を受けるくらいに酷くなってしまいました。『肩は柔らかければ柔らかい方がいい』という風潮は今もありますが、肩は構造上5つに分かれていて、肩甲骨胸郭関節などの肩甲骨の動きを柔らかくすることを意識してやるべきだったと思います」

――なぜ、間違った認識が生まれてしまったのでしょうか?

小山田「投手なら多いと思いますが、球を速いピッチャーを見るのが好きだったんです。球が速い投手は水平外転の動き(肘を引いてトップを作る)が大きいので、自分はそこだけ切り取って『肩が柔らかければ、球が速くなりそうだな』と安易に思ってしまったんです。でも、肘を大きく引けるのは肩が柔らかいということじゃなく、脊椎からひねることができるから。ここを見落とし、体の細かな機能を全く無視していました。自分の性格的に『ゼロ・ヒャク』みたいな考え(0か100かの極端な思考)があり、ほどほどの選択肢がなく、馬鹿みたいにやってしまい、結局、この肩の故障で2年半まともに投げられませんでした。自分はプロに行けるレベルではなかったですが、野球選手として一番脂が乗っている20代前半を棒に振ってしまったので、それが最大の後悔です」

お股ニキ「それは野球界に、よくある話かもしれないですね。小山田さんのように真面目でストイックな選手ほど、一生懸命やりすぎてしまう。方針を決めて、これで良しと決めたら、あとは突っ走るだけ。でも、世の中は良い意味で手を抜いた方が良いこともあり、熱心にやりすぎない人が怪我をしないこともあります。あと、野球は単純化したら打者はホームラン、投手は三振が最高の結果ですが、それを狙いすぎるとかえって他の結果が悪化することもあります。狙ってやれることは理想ですが、そうじゃない結果を狙える引き出しを持てる方が良いのも真理。トレーニングもそういう面があるのかなと思います。野球は経済学と近いものがあり、やればやるほど上がっていくものではなく、制約に応じて一番良いバランスを取るということが大事なのかもしれません」

小山田「その考えになるのは時間がかかってしまいました。もっと早く知りたかったです」

――後悔は「ゼロ・ヒャク」だった思考なのか、選手の動作の一部を切り取って理想としたことか、どちらが強いでしょうか?

小山田「どっちもですね。見た目を真似するのではなく、選手の体の機能を真似しないとダメでした。安易な真似は良くないということ。もちろん、考え方も極端は良くないです」

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