「1発目のタックルに気持ちを」 ラグビー元日本代表主将が石巻工へ「花園」の願い
2人が選手に送った言葉…「一発目タックルに気持ちを込めて戦おう」
「監督さんが立てているプランとみんなのプレーはひとつになっている。自信を持って、そのプレーがグラウンドで出せれば絶対にチャンスはある。今年も惜しかったな、去年よりも点差が縮まったな、もうちょっとで勝てたな……じゃない。今日の分析で相手がやってくることも分かってるし、自分たちが勝てるイメージは描けている。
自分たちがやりたいラグビーを作れてきているから、あとはやるだけ。試合までの2日間、まだ準備する時間があるから、積極的にコミュニケーションをとって、あとはグラウンドで精一杯やろう。相手は同じ高校生。天と地がひっくり返るほどの差はない。絶対勝てるから。そして、スタメンで出る人はチームの代表だということ。出られない人の分も、応援に来てくれている人にも幸せを与えられるように、まずは一発目タックルにその気持ちを込めて戦おう」(天野)
「みんなは、準決勝でモールを作れたところが勝因のひとつだと言ってたけど、モールを作る前にラインアウトを取らないといけない。これが本当に良かった。次の試合でも生かしていこう。この試合に勝って、花園に行った時に、自分たちが想像できないくらい、石巻工業OBの人や石巻市の人たちが、どれだけ自分たちを見てくれていたのか、応援してくれていたのかということにも気づくと思う。
それによって、この被災地である石巻の人たちに、そして全校生徒に、どれだけ自分たちが勇気を与えることができるか、その時に分かると思う。それを気づくために、ここにいる生涯の友と一緒に生涯記憶に残る思い出をしっかり作りにいこう。
そして、花園で再会できることを楽しみにしています。22日の試合までではなく、花園までみんながひとつになって戦えることを信じています」(菊谷)
昨年は仙台育英に完敗して3年連続で決勝の舞台で涙をのんだが、約5か月間の遠隔指導に加え、厳しい練習を積んできた石巻工業の生徒たちは、きっと成長しているはずだ。熱き菊谷と天野の思いを胸に、花園出場の切符を掴むことができるか。宮城県予選決勝は、22日11時からユアテックスタジアム仙台で開催される。
【了】
ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer
村上正広●写真 photo by Masahiro Murakami