【#キミとONETEAM】「逆境を乗り越えるために、みんなでルールを守ろう」―トヨタ自動車・川西智治
度重なる怪我に苦しんだ昨年、切り替えられたのは堀江からの言葉
でも規律が守れない人を責める必要はありません。僕は心に決めていることがあって、“人に優しくする”こと。それは周りに左右されることじゃなくて、自分の行動で“人に優しくする”ということなんです。周りにルールを守れない人がいるかもしれない。おかしいだろうって思うようなことをしている人がいても、その人を指さすのではなくて、自分がやるべきことをやる。それが結果的に色々な人の幸せにつながると思っています。
逆境は必ず乗り切れます。僕自身も昨年は度重なる怪我がありました。ひじの脱臼で、全治は2か月半。ショックでしたが、それでも2か月半。腕が使えなくても、他にできることはあるだろうと思って前向きにやっていました。それだけにアキレス腱を怪我した時は頭が真っ白になりました。もう終わった、と思ったのが正直なところです。
そんな時に言葉をくれたのが堀江(翔太=W杯日本代表)さんでした。堀江さんとたまたまトレーニングジムが一緒で、そんなに深い仲ではなかったのですが、自分がアキレス腱を切った時にすぐにLINEをくれて、「治るよ」と言ってくれた。その一言は凄く大きかったです。
どん底だったけど、怪我の場合はいつかは必ず治る。終わりは決まっているんだから。落ち込むよりも、なりたい自分になれるように努力したほうが早いなって。すぐに吹っ切れました。本当なら復帰できるのは3月だと言われていましたが、そこからリハビリして僕が目標としていた1月のトヨタでの試合に復帰できました。
コロナが明けたらまた見に来てもらえるように。僕たちトップリーガーは自覚をもたなければなりません。ステイホーム中にラグビーが忘れられないように、みんなが色々と仕掛けるべきです。普及させたい思いはみな同じです。満員で試合をできることがどれだけ嬉しいか感じました。それだったら日本代表だけに普及活動を任せるんじゃなくて、僕たちもできる努力をしようと。SNSも貴重なツールです。僕もコメントを頂けたら必ず1人ずつ返信するようにしています。それだけで興味を持ってくれるかもしれません。今、できることはたくさんあります。
【#きょうのトライ「親や家族に手紙を書いてみよう」】
こういう時に何か形に残るものを親や家族にプレゼントしてみましょう。例えば手紙を書いてみてください。どんな高額なものをもらうよりも、本当に大事なものは心が温かくなるものです。僕自身も引退する選手には、チームメートや家族の言葉などを入れたサプライズムービーを送るようにしています。いつでも、何歳になっても、思い出はプライスレスです。
■川西 智治(かわにし・ともはる)
1987年9月25日生まれ、千葉県出身。流通経大柏では高校日本代表。流通経大へ進学し、主将を務める。2010年にトヨタ自動車に入団。ポジションはHO。172センチ、94キロ。
(次回は元7人制日本代表・築城昌拓さんが登場)
(THE ANSWER編集部・角野 敬介 / Keisuke Sumino)