【#キミとONETEAM】「逆境を乗り越えるために、みんなでルールを守ろう」―トヨタ自動車・川西智治
新型コロナウイルスの感染拡大により、昨秋のワールドカップ(W杯)で空前のブームが巻き起こったラグビー界も大きな影響を受けた。1月に開幕したトップリーグがシーズン途中で中止。1試合の観客最多動員を記録する試合も生まれるなど、W杯から続いていた盛り上がりが予期せぬ形で途絶えてしまった。
子どもたちともう一度「ONE TEAM」に―「ラグビー選手から午前9時のメッセージ」第19回
新型コロナウイルスの感染拡大により、昨秋のワールドカップ(W杯)で空前のブームが巻き起こったラグビー界も大きな影響を受けた。1月に開幕したトップリーグがシーズン途中で中止。1試合の観客最多動員を記録する試合も生まれるなど、W杯から続いていた盛り上がりが予期せぬ形で途絶えてしまった。
【注目】現役、OB、指導者ら豪華メンバーが連日登場 ラグビー連載「#キミとONETEAM」全一覧はこちらから
もっとプレーを見せたかった選手、プレーを見たかった子どもたち。距離が遠くなってしまったいま、「THE ANSWER」はラグビー界がもう一度、子どもたちと一つになれることを願って、「#キミとONE TEAM」と題した連載をお届けしている。
元日本代表主将の菊谷崇さんと廣瀬俊朗さんが発起人となり、多くの現役、OB、指導者らが賛同。いま抱えている思いとともに、全国の子どもたちに向けたメッセージを送る。また、記事は連日午前9時に配信。「#きょうのトライ」として、学校が休校となっている子どもたちにきょう1日を使い、やってほしいことを提案する。
第19回は、トヨタ自動車のHO川西智治さんだ。怪我に苦しみながらも今季復帰、トップリーグ史上最多3万7050人の観衆で埋まった、1月のパナソニック戦(豊田スタジアム)にも出場。苦境を乗り越えた32歳からのエールとは――。
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今季のトップリーグの盛り上がりはものすごいものがありました。それだけに中止は本当に残念ですね。僕は今年33歳でチーム最年長。今年が11年目なのですが、僕が入社した当時は豊田スタジアムでの開幕戦でも8000人くらいとか。今と振り返ればガラガラですけど、それでも大学(流通経大)でやっていた頃に比べたら人が多いなという感覚はありました。
試合によっては2000人しか入らない時もありましたし、練習なんて誰も見に来ないですよね。プライベートでも、「すごく大きな体ですけど、何かスポーツをされているんですか」とか、「ラグビー? アメフトとの違いがわからないです」と言われることが多くて……。ずっとラグビーをやってきて、それが本当に悔しかった。自分がやっているスポーツにはプライド持っていますから。
それが昨年からガラッと変わりました。W杯日本代表メンバーの姫野(和樹)や茂野(海人)、木津(悠輔)がいたこともあると思いますが、練習からたくさんの人が来てくれました。さらにスタジアムでは3万人以上のファンの前で試合をさせてもらって、率直に嬉しかったです。人は多ければ多いほど燃えますし、僕はずっとこの試合を目標にやってきたので本当に幸せでした。
昨年は4月にひじを脱臼して、復帰まであと1週間というところで練習中にアキレス腱が切れました。リハビリにかかった期間は9か月。最初は間に合わないかなとも思ったのですが、なんとか1月に復帰できて、あの試合のメンバーに入れた。しっかりと頑張ってきて良かったなと。
今、大事にして欲しいことはラグビーと共通します。ラグビーはとても規律が大事です。例えば横一線にならんで、誰かが先に出るとオフサイドでペナルティをとられます。グラウンドの内外で規律を重要視しているスポーツです。今は自粛ムードで、子どもだけじゃなくて、僕ですら退屈しています。ストレスがたまる気持ちもわかります。
このくらい大丈夫かなと思うこともあるかもしれません。特定の場所に人が集まっているというニュースをみます。ほかの誰かがやっているのを見ると、やっても大丈夫なんだ。じゃあ自分もやろうとなる。その結果、大勢が足を運ぶことになります。個人が、1人くらいいいだろうって思う人が出てくるとそれが、大ごとになってしまうのです。今は一刻も早く終息させることが大事です。だから今は規律が大事。もう少し我慢することが必要です。