【#キミとONETEAM】「友達に会いたい、ラグビーをしたい気持ちをためておいて」―元日本代表・小野澤宏時
新型コロナウイルスの感染拡大により、昨秋のワールドカップ(W杯)で空前のブームが巻き起こったラグビー界も大きな影響を受けた。1月に開幕したトップリーグがシーズン途中で中止。1試合の観客最多動員を記録する試合も生まれるなど、W杯から続いていた盛り上がりが予期せぬ形で途絶えてしまった。
子どもたちともう一度「ONE TEAM」に―「ラグビー選手から午前9時のメッセージ」第3回
新型コロナウイルスの感染拡大により、昨秋のワールドカップ(W杯)で空前のブームが巻き起こったラグビー界も大きな影響を受けた。1月に開幕したトップリーグがシーズン途中で中止。1試合の観客最多動員を記録する試合も生まれるなど、W杯から続いていた盛り上がりが予期せぬ形で途絶えてしまった。
【注目】現役、OB、指導者ら豪華メンバーが連日登場 ラグビー連載「#キミとONE TEAM」全一覧はこちらから
もっとプレーを見せたかった選手、プレーを見たかった子どもたち。距離が遠くなってしまったいま、「THE ANSWER」はラグビー界がもう一度、子どもたちと一つになれることを願って、「#キミとONE TEAM」と題した連載をお届けしている。
元日本代表主将の菊谷崇さんと廣瀬俊朗さんが発起人となり、多くの現役、OB、指導者らが賛同。いま抱えている思いとともに、全国の子どもたちに向けたメッセージを送る。また、記事は連日午前9時に配信。「#きょうのトライ」として、学校が休校となっている子どもたちにきょう1日を使い、やってほしいことを提案する。
第3回は、03年オーストラリア大会、07年フランス大会、11年ニュージーランド大会とW杯3大会連続出場をはたし、世界歴代4位となる代表通算55トライの記録を持つ小野澤宏時さんだ。
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いま、学校にも行けず、友達にも会えず、ラグビーもできなくて、さみしく感じている子どもたちがいると思います。でも、少し見方を変えると、いまだからこそできることってあるんですよね。例えば、テレビでは昔のラグビーの試合を再放送しているので、それを見てみるのもいいかもしれません。
僕は元日本代表だった箕内拓郎さん、菊谷崇さんと一緒に「ブリングアップ・ラグビーアカデミー」で小中学生を教えています。いまはアカデミーの子どもたちとオンラインでつながっていますが、この前「昔のザワコーチの試合を見たよ。ウェールズ戦、すごいトライだったね」と言ってもらいました。当時は22歳の若造で「髪がサラサラで、おじさん恥ずかしいです(笑)」って答えましたが、僕たちには懐かしい映像が子どもたちにとっては新しい発見になる。そういう映像を通じた勉強もまた、おもしろいかもしれません。
最近ではオンライン授業を始める学校が増えているようです。僕の息子もやっています。ふだん学校の授業では、子どもたちは黒板を見て、先生としか目が合わない。クラスメートは後頭部しか見えません。でも、オンラインだとみんなの顔が正面から見えるので、一人ひとりの表情や口元、視線がわかったり、いつもと雰囲気が変わるようです。ただ、みんなの顔は見えるけど、会話に一瞬間があいてしまったり、体育や理科の実験ができなかったり。実際に会う大切さを実感しているようです。
僕らのアカデミーではコミュニケーションの大切さに重点を置いています。話す内容だけでなく距離や聞き方まで重視するので、小さい輪になったり触れ合ったり「3密」の状態をわざと作っていました。でも、いまはそれができません。ふだん何気なく作っていた小さい輪の中で、実はいろいろな情報を手に入れていたんだとか、ソーシャルディスタンスってコミュニケーションを取るには少し遠いなとか、感じ取ってほしいですね。そして、みんなとまた外に出られるようになったら、友達に会いたかった気持ち、ラグビーをしたかった気持ちをぶつけてください。