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休校中の米国で進むオンライン授業 「バーチャル休み時間」で家庭学習は乗り切れるか

楽しみにしている、指導者の「では、2時間後に会いましょうね」の声

 このバーチャル休み時間は、米国カリフォルニアに拠点を置くNPOの「PLAYWORKS」が提供している。1日3回、米国西部時間の午前9時、午前11時、午後1時、東部時間なら午後12時、午後2時、午後4時にこの団体のフェイスブックのページからライブの動画が流れる。

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 月曜日から金曜日まで、指導者が日替わりで、画面の向こうにいる子どもに呼びかけながら、いろいろな遊びをしてくれる。内容は幼児から小学生向けといったところだ。

 時間がくると、画面の向こうからの指導者の声かけにあわせて体を動かす。休み時間は10分ほどなので、ルールを理解しないとできない複雑な内容は避け、簡単な遊びを選んでいるようだ。

 たとえば、このようなもの。

「今、大人が家で仕事をしているので、静かにしていなければいけない人は、その場で静かに駆け足」
「今日はまだ、一歩も外に出ていない人、その場で駆け足」

 日本では「だるまさんが転んだ」などと呼ばれている遊びもした。画面の向こうにいる指導者が背中を向けているときには自由にダンスするなどで体を動かし、こちらを振り返った瞬間には止まっていなければいけない、という遊び。向こうからこちらは見えていないので、セーフ・アウトの判定は自己申告。アウトだと思った人は、その場でジャンピング・ジャック5回というルールだった。そのときも、指導者が「良いジャンピング・ジャック」をしてね、と呼びかけて、自分でもお手本を見せていた。

 私が何よりも楽しみにしているのは、画面の指導者が「では、2時間後に会いましょうね」と言ってくれることである。2時間、仕事をしたら、また休み時間が来るのだというのがうれしい。そして、午後の3回目は、今日もやるべきことをやったと褒めてもらえ、「今日の残りはリラックスしてね」などと言葉をかけてもらえる。

 このPLAYWORKSという団体は、1990年代半ばに立ち上げられた。学校での休み時間が喧嘩の場になり、他の子たちは怖がって休み時間に遊ぶこともできず、という状態に陥った学校があった。その学校の先生が、休み時間の遊びを通じて、子どもたちが友達とのつきあい、社会性を身につけられるようにとスタートしたものだ。

 本業は「バーチャル休み時間」ではなく「リアル休み時間」だ。普段は、休み時間について困っている学校をコンサルティングしたり、休み時間の遊びのアイデアを提供している。主な財源は企業や個人からの寄付。普段からの取り組みと蓄積があるからこそ、今回のような非常時にも、スピード感を持ってオンラインに切り替えることができた。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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