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ラグビー元日本代表×世界的アーティスト 異色コラボ「ラグビーボール日常化計画」とは

菊谷「ちゃんとラグビーボールに触れられる環境を日本に残していきたい」

―茂本さんは絵を描く時に心掛けていることがあるそうですね。

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茂本「僕はライブペイントでも、誰が見ても分かる、ということが信条です。芸術の場合、抽象的過ぎて見る人に何が描いてあるのか伝わりづらいケースもありますが、僕は分かりやすさを求めています。分かりやすいということは、決して次元の低いことではない。ライブペイントであれば、描き始めて15分後にはお年寄りからお子さんまでみんなが感動する作品にしたいと思っています。最初の5分くらいは、あちこちいろいろな部分を描いて、何か分からないように始める。でも、それが10分後にはラグビーの風景として見えてきて、お客さんから『えぇ?っ』と声が上がる。そういうのが好きなんです」

菊谷「子どもにラグビーを教えるのと一緒ですね。大人に教えるよりも、分かりやすく噛み砕く。そういう分かりやすさは大切ですよね」

茂本「最初は分かりやすく感動させるっていうのは、大事なことなんじゃないかと思います」

―今回のコラボでは、Tシャツの収益でラグビーボールを作り、各地の子どもたちにプレゼントしてラグビーボールが日常にある環境を整えようという活動が生まれました。文化とスポーツのコラボです。

菊谷「今回、このお話をいただいた時に、いただく寄付をどうやってラグビー界に還元しようか悩みました。どういうことが今後のラグビーに繋がるのか。2015年のW杯後もすごく人気が出ましたが、すぐ冷めてしまいました。今回は日本開催ということもあって、今までにない盛り上がりを見せた中で、どうやってレガシーとして子どもたちに伝えていくか。そう考えた時、実は今、子どもたちがラグビーボールに触れる機会がないんですね。W杯を見て興味を持った小学生はバスケットボールを使っているらしいです。僕らが講師として訪問した小学校でも、先生が『ラグビーボールありますよ』って持ってきたのがアメフトのボール(笑)。やっぱりこの状況は変えたいなと思って、このプロジェクトの収益でボールを作って、僕らが訪問した先に置いてくることにしました。ちゃんとラグビーボールに触れられる環境を日本に残していきたいなと。それが僕らBUの考えるラグビーが根付く文化、レガシーとして繋がればいいなと思います。この企画と活動をより多くの人に知ってもらえればうれしいですね」

茂本「W杯を見ていて思いましたが、ラグビーは見る人を惹きつける魅力というか、グッと来るものがありますよね。すごく印象が変わったと思います。危ないスポーツ、野蛮なスポーツ、男のスポーツというイメージから、技術だったり、コミュニケーションだったり、ノーサイドの精神だったり。W杯でガラッと印象が変わったような気がしますね」

菊谷「W杯という大会の大きさもあり、すごく変わりましたね。ラグビーっていいスポーツだね、という声が増えましたし、今まで『難しい』『分からないから見に行かない』と言っていた人が、W杯のおかげで『ラグビー面白いね』と、たくさん会場に足を運んでくれるようになった。どんどん輪が広がる中で、ラグビーボールを配る活動も僕たちBUの3人から輪を広げていきたいと思います」

茂本「子どもたちに『きっかけ』を与えることって大切ですよね。僕も小学校に墨絵を教えに行ったり、ワークショップを開いたりすることがあります。その時、やっぱりお習字は知っていても、墨で絵を描く発想ってないんですよね。でも、体育館で墨絵を描いていると、みんな習字よりも楽しそうで。子どもって感性が一番鋭いじゃないですか。だから、子どもの頃にきっかけを与えると伸びる子は伸びる。そういう意味では、スポーツも芸術も子どもにちゃんときっかけを与えるシステムがあれば、日本の文化として底上げができるんじゃないかと思うんです。地道な作業ですけどね」

菊谷「アカデミーの子どもたちにも墨絵のワークショップを開きたいですね。グラウンドでやんちゃな子どもたちが筆を持った時に、どういう性格が出てくるのか。僕が普段見ているものとは違った感性を持って描くと思うので。人間形成の上でも違う一面が見えたら面白いですよね」

―きっかけを与えることが大人の使命かもしれません。

菊谷「茂本さんに描いていただいた墨絵のTシャツからボールに変わり、そのボールを触った子が1人でも2人でもいいから将来ラグビーを続けることに繋がればうれしいですね。そういうきっかけを子どもたちに与えられる活動を続けていければと思います」

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

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