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小学生が17年で46%減った日本柔道の競技人口 子どもに伝えるべき「勝利以外の価値」

柔道界の転換期、羽賀は他人事とは考えていない【写真:荒川祐史】
柔道界の転換期、羽賀は他人事とは考えていない【写真:荒川祐史】

全中は部活以外からも出場可能へ、羽賀「今後を見ていきたい」

 全柔連では公認指導者資格を設け、指導者の育成にも力を注いでいる。規定も都度改善され、より良い方向へ歩もうと努力しているところだ。ロンドン、リオ五輪男子66キロ級銅メダルの海老沼匡氏は、日本オリンピック委員会(JOC)のスポーツ指導者海外研修員として英国留学。24年3月までの2年間、日本の国技ながら海外の指導法を学ぶために行動した。

 日本中学校体育連盟は2023年度から全国中学校体育大会について、学校単位だけでなく、民間のクラブや団体としても出場できるよう参加要件を緩和する方針を決めた。道場がない、指導者がいない学校でも、地域の道場に通って大会出場が可能になる。

 羽賀は「全てがポジティブかどうかわかりませんが、取り組みは面白い。部員数が少なくても、近くの道場に所属すれば団体戦に出られる。そういった面では柔道を継続できる環境が届く。今後を見ていきたいですね」と期待している。

 東京五輪では、史上最多9個の金メダルを含む12個のメダルを獲得し、最強を証明した日本代表。競技別では過去103個の体操に次ぐ96個と2番目に多く、数々の感動を届けてきた。「長い目で見た時、競技人口が減ると競技力が低下していくんじゃないかと感じています。今は凄い転換期。いろいろとテコ入れしていますが、どうなっていくか予想がつかないです」。今、動かなければ10年、20年先に衰退している可能性は大いにある。

 将来、どんな柔道界を望むのか。競技を愛する羽賀は「なってほしいとか、そんなふうに遠くからは見ていない」と身近な問題であることを強調した。

「現役中にできることはやっていきたいです。やっぱり現役選手が会いに行くことに意味があると僕は思う。大会運営とかは現役選手がやることじゃないと思われるかもしれない。だから、引退後はそういうところも協力しながら、柔道を通していろいろな角度から魅力を伝えていきたいですね。

 現役中にコロナ禍で無観客試合を経験したのは、将来的にいいことだったと思います。有観客だったこの前(4月2、3日)の選抜体重別選手権では、『観客が持つ影響ってこんなにあるんだな』と感じました。お客さんも『生で見た方が面白いわ』と感じてもらえたと思う。より多くの人に見てもらい、応援してもらうことを望まない選手はいません。もっともっと頑張って突き詰めていきたいです」

(最終回「異常な親による勝利至上主義、解決に導く柔道家の経験談」は1日掲載)

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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