堀越高校サッカー部「ボトムアップ指導11年目の結実」第1回

　日本のスポーツ界で「選手主体」の指導の大切さが叫ばれる中、育成と結果を両立させているチームの1つが、堀越高校サッカー部だ。11年前、佐藤実監督がボトムアップ型の指導を導入すると、2020年度の全国高校サッカー選手権に29年ぶりの出場。21年度大会にも2年連続で出場すると、今年度も2年ぶりの全国行きを決めるなど、着実に選手主体の指導の質を高めている。今年度については当初、佐藤監督は「難しい年代になる」と見ていたが、選手たちは予想を上回る成長を見せ、全国行きの切符を勝ち獲った。（取材・文＝加部 究）

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　東京都の高校サッカーのレベルが急激に上がっている。

　2012年から選手主体で活動を進めていくボトムアップ方式に切り替えた堀越高校は、それから9年目の2020年度に29年ぶりの全国高校選手権への出場を果たし、ベスト8に進出した。堀越は翌年も連続出場を果たすが、同じく東京代表として出場した関東一は準決勝に進出。また昨年の全国高校総体（インターハイ）では帝京が決勝進出を果たし、冬の全国高校選手権では国学院久我山が3回戦で優勝した岡山学芸館と対戦。惜しくもPK戦の末に敗れたが、終始攻勢にゲームを進めて相手をシュート1本に抑え込んでおり、十分に優勝を狙える力は証明した。

　さらに今年に入っても関東選手権では、修徳が3試合で13得点4失点の攻撃力を見せて優勝。もともと競争率では全国随一の東京だが、確実にその質を高めている。

　昨年、選手権への3大会連続出場を目指した堀越は、東京都予選のAブロック準々決勝で国学院久我山と顔を合わせた。前年はAブロック決勝で顔を合わせて4-2で快勝した相手だった。

　堀越サッカー部で監督として10年目を迎えた佐藤実が振り返る。

「一昨年の堀越が勝った試合でも、久我山が後半から2年生の塩貝健人（現・慶応大学＝U-19日本代表）くんたちを送り込んでくると、だいぶ煽られました（前半3-0でリードするも、一時は1点差に迫られる）。彼らが主軸になる翌年は相当厳しくなるな、と思いました。実際に昨年の久我山は、もともとチーム力が高かった上に突出した個の存在もあり、鬼に金棒でした」