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早大競走部でよくする「大谷翔平の話」 必要な正三角形…部活で“順調に伸びる選手、伸び悩む選手”の差

第101回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)が1月2、3日に行われる。「THE ANSWER」は令和を迎えた正月の風物詩を戦う各校の指導者に注目。強い早稲田大学を取り戻すために再建の道を進んだ花田勝彦監督だが、1年目から6位でシード権を獲得し、前回も7位でシードを確保した。厳しいプレッシャーがあっただろうが、大学、実業団時代に築いた自分のやり方を貫いた。その指導理念とは、どういうものだったのだろうか。(全4回の第2回、聞き手=佐藤 俊)

早大競走部では大谷翔平の話をよくするというが、その理由とは【写真:中戸川知世】
早大競走部では大谷翔平の話をよくするというが、その理由とは【写真:中戸川知世】

「箱根駅伝監督、令和の指導論」 早大・花田勝彦監督/第2回

 第101回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)が1月2、3日に行われる。「THE ANSWER」は令和を迎えた正月の風物詩を戦う各校の指導者に注目。強い早稲田大学を取り戻すために再建の道を進んだ花田勝彦監督だが、1年目から6位でシード権を獲得し、前回も7位でシードを確保した。厳しいプレッシャーがあっただろうが、大学、実業団時代に築いた自分のやり方を貫いた。その指導理念とは、どういうものだったのだろうか。(全4回の第2回、聞き手=佐藤 俊)

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 大学では高校時代にタイムを持っているのに、なかなか伸びていかない選手、順調に伸びていく選手と分かれてしまう。両者に分かれていくのは、怪我など外的な要因もあるが、そこは学生の意識に因るところが大きいという。

――部内で伸びていく選手、伸び悩む選手、何が両者を分けていくのでしょうか。

「早稲田大学の場合、文武両道を掲げていて、特に本部キャンパスに通う学生は単位を取るのも大変なので、競技だけに集中し、がんがん練習ができる環境ではありません。その練習環境の中、自分でどう工夫してやっていくかだと思うんですけど、それがうまくできる子は伸びていきますし、できない子はなかなか上がってこないですね」

――その差は、何なのでしょうか。

「向上心でしょう。一般で入ってくる子は、練習をすごく頑張るんです。逆にやり過ぎてオーバーワークになって怪我をしてしまうことが多いんです。その時は、すごく頑張っているけど、それが結果につながる努力なのか、休むことも大事な練習じゃないのかという話をしています。『練習と栄養と休養の正三角形を大きくしていくことが大事だぞ』と言っているのですが、限られた時間を有効に使えずに栄養バランスが悪かったり、ケアの時間が足りなかったりして二等辺三角形になりがちです。そうなるとケガをしたり、体調を崩してしまったりして練習が継続できなくなります。そのあたりは、自分たちでしっかり考えて取り組むようにといつも言っています。心が折れてしまう子が多いので、時間の配分、作り方をうまくやろうという話をよくしています」

――正三角形を築くのはなかなか大変な気がします。

「選手は、調子が上がらないとかいうじゃないですか。その時、大谷(翔平)選手の話をよくするんです。大谷選手は睡眠を非常に重視していて10時間は取るようにしています。調子が上がらない選手に『何時間、寝ているのか』と聞くと良くても『6、7時間』というんですよ。そこで10時間寝て、それでも疲労が取れない、調子が上がらないのであれば食事とかいろんな要素を考えないといけないけど、調子が上がらないという前にまだやるべきことがあるんじゃないかと、学生には伝えています」

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佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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