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1分30秒差で箱根5区なら「往路優勝も見える」 創価大監督、異例編入の3年吉田響に絶大な信頼

選手の成長を実感する榎木和貴監督。東海大から編入した吉田響が5区を走る効果は大きいと明かした【写真:編集部】
選手の成長を実感する榎木和貴監督。東海大から編入した吉田響が5区を走る効果は大きいと明かした【写真:編集部】

東海大から編入の吉田響、出雲5区と全日本5区で区間新の走り

 今シーズン、創価大躍進のシンボル的な存在になっているのが吉田響(3年)だ。今春、東海大から編入してきたが、創価大の環境でその才能が開花し、出雲5区で区間賞、全日本5区でも区間新の走りを見せ創価大の上位進出に貢献した。

――吉田響選手の加入はチームにとって大きかったですか。

「非常に大きいですね。うちに来た時は『箱根の5区だけ走れれば自分は良いので、他の試合は入れなくてもいいです』と言っていたんです。でも、いろんな選手とコミュニケーションを取り、みんな自己ベストを出していく中で、自分も5000メートルで13分台を出したいとか、出雲と全日本を走りたいとか、チームの目標を仲間と一緒に達成しようという気持ちが大きくなっていったようでした」

――学生スポーツで外部からの途中入部はレアケースですが、すぐに溶け込めたのですか。

「響自身がすごく明るい性格で、積極的に話しかけていくタイプで、嶋津(雄大/現GMO)に似ている感じだったので、あっという間に打ち解けていましたね。練習は彼の場合、放っておいても自分でガンガン追い込み過ぎるぐらいやるので、そこを上手くセーブさせることだけに注意しておけば大丈夫でした」

――他選手にも大きな刺激になったのでしょうか。

「夏合宿で1年生の小池(莉希・1年)が響にチャレンジして、前を走ったけど最後にねじ伏せられるとか、いい刺激になっていました。また、吉田凌(3年)と響の“ダブル吉田”がお互いに切磋琢磨し、月間1000キロを超える走りをして、夏を乗り切りました。そこが響にとっては大きな自信になったらしく、出雲では自分から向かい風が強い5区を希望してきましたし、全日本は当初6区の予定だったんですが、響が僕の区間で流れを変えたいと5区を希望したので任せました。夏の走りを見ていたので、安心して彼に任せられましたし、実際、素晴らしい走りを見せてくれたので、箱根の5区も楽しみです」

 創価大は2021年の箱根駅伝で往路優勝、総合2位という過去最高の結果を残した。100回の記念大会となる今回も、あの時のような流れと戦いを再現できればと榎木監督は考えている。

――箱根の戦い方は、総合2位となった3大会前の戦い方を再現したい感じでしょうか。

「そうですね。往路優勝した時は、各選手に予定の区間を伝えていて、そこに選手がばっちりと合わせてきたので、理想のオーダーが組めましたし、往路で使ってもいいと思う選手を復路で使えたんです。そこが準優勝できた要因かなと思うので、今年もそういうチームにしていきたいと思ってやってきていますし、そこにかなり近づいていると思います。ただ、他大学もかなり強くなっていますからね。あの時はコロナで試合がなくて、他大学の情報が見えなかった。今は試合が普通にあるので、八王子で駒澤大の3人が27分台を出したとか、毎週のように情報が入ってくるのが違うところですが、うちは3位以上を狙える練習ができていると思っています」

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榎木 和貴

創価大 陸上競技部 駅伝部監督 
1974年6月7日生まれ、宮崎県出身。現役時代は箱根駅伝で史上7人目となる4年連続区間賞獲得など、中央大の主力として活躍。3年時の96年大会では4区を走り、32年ぶり14回目の総合優勝に貢献した。卒業後は旭化成に進み、2000年の別府大分毎日マラソンでは2時間10分44秒で優勝。その後は負傷にも苦しみながら沖電気、トヨタ紡織で指導者としての実績も積み上げると、19年に創価大駅伝部の監督に就任した。21年の箱根駅伝で往路優勝、総合2位とチームを過去最高成績へと押し上げる。今季も出雲駅伝2位、全日本大学駅伝6位と上位争いを演じている。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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