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「育成の創価」を大学駅伝強豪校も警戒 「箱根で戦える選手」に育て上げる榎木和貴監督の信念

箱根駅伝に定着、入学者の「レベルも高くなった」

――創価大は「育成の創価」と言われています。1、2年目は地道に練習に励み、3、4年で開花する。今もこのようなスタンスで強化されているのでしょうか。

「外から見ると、そう見えるのかもしれないですね(笑)。でも、うちも他大学と同じように1年目から箱根を走りたいっていう選手がいます。ただ、うちに入ってくる選手は(5000メートルを)14分30秒前後、15分台の選手もいますので、他校の13分台、14分ひと桁台の選手とはスタートラインが違うんです。そういう選手たちと勝負するためには、時間が必要です。1年目は土台作り、2年目に他大学の1年生のレベルに到達できて、3、4年生でようやく箱根デビューができるかどうかのレベルに上がってきます。

 そのプロセスから『育成の創価』と言われていると思うんですけど、最近は箱根に定着したことで入学してくる選手のレベルも高くなり、スタートラインの位置も上がってきました。1年生でも駅伝を走りたいと思い、そこに実力が伴えば、その要望に応えてあげたいと思っています」

――箱根デビューに至るまで、どういうプロセスを踏んでいくのですか。

「1人ひとりの個性を伸ばすということ、高校から入ってきて自己記録を更新させていくところに重点を置いています。また、記録会に出るだけではなく、ハーフマラソンや実業団の合宿にも参加させていただきます。そこで実業団のトップレベルの選手はこういう取り組みをしているんだとか、いろんな経験ができます。大学内を見るだけではなく、そういう機会をたくさん作り、情報を選手に与えていくことで、箱根で戦える選手になっていきます」

(佐藤 俊 / Shun Sato)

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榎木 和貴

創価大 陸上競技部 駅伝部監督 
1974年6月7日生まれ、宮崎県出身。現役時代は箱根駅伝で史上7人目となる4年連続区間賞獲得など、中央大の主力として活躍。3年時の96年大会では4区を走り、32年ぶり14回目の総合優勝に貢献した。卒業後は旭化成に進み、2000年の別府大分毎日マラソンでは2時間10分44秒で優勝。その後は負傷にも苦しみながら沖電気、トヨタ紡織で指導者としての実績も積み上げると、19年に創価大駅伝部の監督に就任した。21年の箱根駅伝で往路優勝、総合2位とチームを過去最高成績へと押し上げる。今季も出雲駅伝2位、全日本大学駅伝6位と上位争いを演じている。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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