「育成の創価」を大学駅伝強豪校も警戒 「箱根で戦える選手」に育て上げる榎木和貴監督の信念
監督就任前は「チームが迷走していた」
――就任5年目を迎えて、何か新しいことへの取り組みはあったのでしょうか。
「今年からコーチに築舘(陽介)が加わりました。彼は、私が監督に就任した時のキャプテンだったんです。箱根に行けなかった時代を知っていますし、私が就任してからチームの練習や選手の姿勢が劇的に変わり、予選会を突破、シードを獲得してきた経験をしているので、そういう時代があったことを後輩たちに伝えてくれます。先輩たちが築き上げてきたものを数年で終わらせるのではなく、継承していくというのがうちのチームのスタイルですが、築舘が入ることで余計なものをそぎ落とし、ベースをキープしつつ、新しいものも入れていくというサイクルがようやく5年で固まりつつあるかなと思います」
――当初、目標設定、練習の方法などで学生との衝突はなかったのですか。
「私が、就任する前は、チームが迷走していました。スタッフ間の連携が上手くいっていなくて、誰を信じてついていけばいいのか、方向性が見出せない状況だというのを聞いていたので、正直、選手はかわいそうだなと思っていました。
私が監督に就任して最初に感じたのは、箱根に行きたい、箱根で戦いたいという思いの強い選手が多かったということ。まずは箱根に行くために必要なことを、実体験を交えて話し、選手に理解してもらいました。その上で強化を進めていったので、やる気が見えない学生には怒りましたけど、衝突することはなかったですね」
創価大は1、2年時、練習によって培われたものが上級生になって開花し、箱根駅伝で快走するパターンが多く、それが「育成の創価」と言われる所以でもあった。だが、最近は1年生の出走も増えてきており、学年の枠に止まらない活躍が目立ち始めている。