[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

低酸素トレを「理解してもらえなかった」 城西大駅伝監督が導入、転機になった1人の選手の挑戦

チームを3つのカテゴリーに分類、中間層の底上げが必須

――今、低酸素ルームでの練習はどのくらいの頻度でやっているのですか。

「トップで走っている選手は週1、必ず入ってトレーニングをするようにしています」

――全体の強化は、どのように進めているのでしょうか。

「ここ数年は、選手の力の差というのが出てきて、流動的ではありますが、トップ選手と駅伝を目指す選手、育成組の3つのカテゴリーと中距離の組に分かれています。練習も以前は、全体でやる練習メニューというのがあったのですが、今はグループに沿った練習メニューを提供しています」

――グループ分けされたチームは、今いくつあるのでしょうか。

「大きな枠で言えば長距離と中距離で、長距離のメンバー組は留学生のヴィクター(キムタイ・2年)と山本(唯翔・4年)、斎藤(将也・2年)の3人と、あとは駅伝を目指す選手が12名くらいいます。育成組も2つに分かれています。本来は育成からメンバー組に上がってくるのが理想なのですが、今はトップメンバーがほぼ固定されています。メンバーと育成の差があり、チーム的にも過渡期なので、下から上に上がり切れない状態が続いていますね」

――チームを細かく分け、選手個別のメニューを作成すると、かなり手間がかかります。そこは監督がすべて担っているのでしょうか。

「基本的には僕がやります。選手には2週間に1度、練習メニューを送っています。ただ、全部見せてしまうと、こんな練習をするのかっていう気持ちになってしまいますので、全部を公開するというよりも大枠でのメニューを提示しています。もちろん、調子の良し悪しがあるので、調子が落ちた選手には練習を減らしたり、そこは柔軟に対応しています。基本的に調子が悪いとか、足が痛いという選手に無理強いをすることはないです」

――城西大が常勝になるには、中間層の底上げが必要になりますね。

「うちは、昔から大エースはいるんですけど、それ以外のところでレベルが落ちてしまう。今年はようやく育成からちょっとずつ選手が上がってきているのですが、まだまだです。中間層の強化はうちの大きな課題ですし、引き続きしっかりと取り組んでいかないといけないですね」

(佐藤 俊 / Shun Sato)

1 2

櫛部 静二

城西大 男子駅伝部監督 
1971年11月11日生まれ、山口県出身。城西大経営学部マネジメント総合学科教授。早稲田大1年時から主力として活躍し、箱根駅伝では2区に抜擢されるが、体調不良により後半失速するアクシデントに見舞われる。3年時には1区区間賞の快走で総合優勝に貢献するなど、箱根駅伝を4度走った。卒業後はエスビー食品に入社。実業団選手として活躍したが、2001年に競技を続けながら創部したばかりの城西大駅伝部のコーチに就任、09年から監督となった。10年と12年の箱根駅伝では過去最高の総合6位に導いた一方、個を伸ばす指導を心がけており、16年リオデジャネイロ五輪で5000メートルと1万メートルに出場した村山紘太、21年東京五輪3000メートル障害の山口浩勢らを育てた。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集