巨人&西武で学んだ12年 東北学院大・星孝典監督、プロ野球生活で磨かれた指導者の原点
今年2月、母校である東北学院大学硬式野球部の監督に就任した星孝典氏(40歳)。現役時代は同大から直接プロ入りする初めての選手となり、巨人、西武で計12年間プレーした。また引退後もNPBに残り、西武、楽天で計6年間コーチ経験を積んだ。“指導者気質”な性格は、プロ野球の荒波に揉まれた現役時代に形成されたもの。指導者・星孝典の原点に迫る。(取材・文=川浪 康太郎)
東北学院大学硬式野球部・星孝典監督インタビュー後編
今年2月、母校である東北学院大学硬式野球部の監督に就任した星孝典氏(40歳)。現役時代は同大から直接プロ入りする初めての選手となり、巨人、西武で計12年間プレーした。また引退後もNPBに残り、西武、楽天で計6年間コーチ経験を積んだ。“指導者気質”な性格は、プロ野球の荒波に揉まれた現役時代に形成されたもの。指導者・星孝典の原点に迫る。(取材・文=川浪 康太郎)
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宮城県名取市出身。兄の影響で小学1年の頃に野球を始め、高校は県内の名門・仙台育英高に進んだ。仙台育英では2年夏と3年夏に甲子園を経験。熾烈なレギュラー争いの末、3年次には正捕手の座を勝ち取った。輝かしい実績がありながら、当時仙台六大学野球リーグで独走状態だった東北福祉大や県外の強豪大学で活躍する自信は持てず、東北学院大への進学を選んだ。
進路を決めた頃はプロ志望ではなかったが、同学年でライバル捕手だった東北高の渡辺雅弘がドラフトで指名されたことがきっかけで、自身もプロ入りを目指すようになった。ただ、当時の東北学院大には室内練習場や照明設備が備わっておらず、練習環境は激変。また寮もなく、自由な時間が増えたことから、「流されたら終わり」と自身に言い聞かせながら野球優先の4年間を過ごした。
大学では2年時に右肩を手術し、一時は夢を諦めかけたものの、3年時は三塁手、4年時は捕手として申し分ない成績を残した。大学日本代表の候補合宿でのアピールも実り、2004年のドラフトで巨人から6巡目指名を受けた。
プロ野球は、想像以上に煌びやかな世界だった。プロ1年目はシーズン最終盤に1軍昇格を果たし、10月4日の広島戦に「8番・捕手」でプロ初出場初スタメン。消化試合とはいえ、人気球団・巨人の本拠地である東京ドームはこれまで耳にしたことのない大歓声に包まれていた。試合中、マウンドに集まる際には、一塁から阿部慎之助、二塁から仁志敏久、三塁から小久保裕紀が駆け寄ってくる。しかも相手先発は、広島の大エース・黒田博樹。星は緊張のデビュー戦を振り返り、「ゲームの世界ですよね」と笑う。