箱根駅伝に4年ぶり出場、大東大を変えた6か月 真名子圭監督が重視した「その場の5秒」
今年度の大学駅伝シーズンも佳境を迎え、毎年1月2日と3日に行われる正月の風物詩、箱根駅伝の開催が近づいている。10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝で2冠を達成した駒澤大を止めるのはどこか――。「THE ANSWER」では、勢いに乗る“ダークホース校”の監督に注目。今回は10月の予選会を首位通過し、4年ぶりに箱根路を走る大東文化大の真名子圭監督だ。今年4月に母校の指揮官に就任すると、全日本大学駅伝に続き箱根駅伝も予選を突破。指揮官は、いかにしてチームを短期間で変えたのか。第1回では指導する上で大切にしていることや、高校生と大学生に接する際の違いについて語った。(取材・文=佐藤 俊)
箱根駅伝「ダークホース校の指導論」、大東文化大学・真名子圭監督インタビュー第1回
今年度の大学駅伝シーズンも佳境を迎え、毎年1月2日と3日に行われる正月の風物詩、箱根駅伝の開催が近づいている。10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝で2冠を達成した駒澤大を止めるのはどこか――。「THE ANSWER」では、勢いに乗る“ダークホース校”の監督に注目。今回は10月の予選会を首位通過し、4年ぶりに箱根路を走る大東文化大の真名子圭監督だ。今年4月に母校の指揮官に就任すると、全日本大学駅伝に続き箱根駅伝も予選を突破。指揮官は、いかにしてチームを短期間で変えたのか。第1回では指導する上で大切にしていることや、高校生と大学生に接する際の違いについて語った。(取材・文=佐藤 俊)
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大東文化大が強くなった――。
6月、全日本大学駅伝の関東予選会で5位通過、そして10月の箱根駅伝予選会ではトップ通過を果たした。明治大、早稲田大、東海大という常連校を抑えてのトップ通過は、まぐれや運では到底実現できるものではなく、力がついている証左でもあろう。その大東文化大を指揮するのが真名子圭監督だ。今年4月に就任して以来、どのような指導で選手のマインドやチームを劇的に変化させていったのだろうか。
――真名子監督が指導する上で大事にしていることは、どういうことですか。
「僕は、どれだけ強くても人に愛されない、応援されない選手は魅力がない。弱くても周囲から応援される選手になってほしいと学生たちに伝えているので、まず人として成長できるような指導を心がけています」
――具体的にはどんな方法で指導をしているのでしょうか。
「気づいたことは、その場で言うというのは高校の時からの自分のスタイルです。例えば、学校や寮で僕とすれ違った時、ゴミが落ちているとします。学生がゴミを拾わずに通り過ぎようとしていると、すぐに止めますね。『ここに落ちているゴミは、君のじゃないのは分かる。でも、学校に落ちているゴミだよね、だったら拾うべきなんじゃないの?』と言います」
――鉄は熱いうちに打て、という感じですね。
「前は、違ったんですよ。大々的にミーティングを開いて言っていたんです。でも、1週間前のことをミーティングで言っても、学生は『それ、なんだっけ?』ってなるんですよ。僕の記憶も少し曖昧になってしまうし、熱も冷めてしまう。だったら、気がついた時に言うのが一番かなと思って。無駄な1時間のミーティングよりも、その場の5秒を大事にしたいんです」