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箱根駅伝“常連校”との差とは? 立教大の“現役ランナー”監督が抱く、個を伸ばす難しさ

高いレベルのメニューをこなせる選手はまだ6人くらい

 立教大の選手は決してポテンシャルが低いわけではない。中山凜斗は1年の時、関東学生連合として箱根4区を走るなど、着実に成長している選手もいる。だが、もう一つ殻を抜けきれていないのも事実だ。高校時代のタイムや走る姿を見るにつけ、もっといけるはずなのにと思うのだが、そこを突き抜けられないのは何か理由があるのだろうか。

「うちは、ポイント練習とかも最初の1、2年目に比べたらレベルが高くなっていますし、箱根に近づいているなというレベルでやれていますが、そのメニューをちゃんとこなせるのは、まだ6人ぐらいなんです。次のグループの13、14名はポイント練習をこなすので精一杯で、そこから自分で考えて足りない部分を補うという姿勢、さらに練習をやる力がまだ足りない。箱根の常連校は、ポイントをした後、ジョグをしたり、起伏走をしたり、自分で課題を見つけて走るんですけど、うちの選手は、まだその余裕がないので、もう一歩先に進めない」

 現実的に力がまだ足りていない部分が大きいが、箱根常連校には強い先輩がいて、ジョグなどに誘ってもうらことで一緒に走り、力をつけていくパターンが多い。立教大には、まだ圧倒的な存在と言える選手がほとんどおらず、ジョグなどの質がなかなか上がらない影響もありそうだ。

「チーム全体を伸ばしつつ、個も成長させるのってすごく難しいです。自分の晩年の練習メニューでいけば全体的に伸びるけど、個が伸びてこないんですよ。逆に能力が高い5、6人の選手だけ集めて、自分の若い時のメニューを与えると強い子だけが伸びていくんです。でも、それじゃ箱根には行けない。うちは中間層が課題ですが、正直、本当に箱根に行きたいと思うならぶっ倒れて、吐くぐらいの激しい練習をしないと難しいです。箱根に出ている大学は、そのくらいやっていますよ。それができないのは私の甘さのせいでもあるんですが……」

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上野 裕一郎

立教大学 陸上競技部 男子駅伝監督 
1985年生まれ、長野県出身。佐久長聖高校1年時から駅伝で区間賞を獲得するなど活躍し、1万メートルで日本高校記録を出した。中央大学でもスピードを武器に1年時から箱根駅伝など主要大会で数々の好成績を残した。エスビー食品へ進むと、2009年には5000メートルで世界陸上ベルリン大会に出場。13年からはDeNAに移籍し競技を続けていたなか、18年12月に立教大学陸上競技部の男子駅伝監督に就任。現役選手としての活動も継続する「ランナー兼指導者」として、チーム強化に努めている。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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