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箱根駅伝の勢力図を変える新興勢力 躍進の東京国際大、選手獲得で重視することは?

高校生と話をする時に必ず聞く「将来の夢」

 強いチームにもう一つ欠かせないのがスカウティングだ。大学は4年間でワンサイクルなので、良い素材が入ってこないと強さを維持できなくなる。東京国際大は、どのようなスカウティングで選手を獲得しているのだろうか。

――スカウティングの際、記録以外に面談などでどういう部分を見たり、話を聞いたりしますか?

「話をする時、必ず将来の夢を聞きます。五輪に出たいのか、学校の先生になりたいのか。入学の際、学生は大小の差はあれ、夢を持って入ってくると思うんですよ。その夢を叶えるために、何をしたらいいのか、どんなことをすべきなのか。例えば実業団に行きたいならどんなチームに行きたいのか。でも、実業団に行くには5000メートルで13分40秒、1万メートルは28分40秒台でないといけない。29分ちょうどなら、あとどうやって20秒を詰めていくのか。それを自分で考えることができないと実業団に入っても走れません。すべては、次のステップに行くために続いているということを話します。入学して燻ったり、気持ちが競技から離れそうになった時は、『お前は夢を追いかけることができているか』と問いかけることもありますね」

――タイムは良いけど、性格に難がある。そういう選手の場合はどうしますか?

「性格に難があっても強くなりたいという部分では、一致していると思うんです。どうやって強くなっていくのか、という点において何かを共有できたり、こちらできっかけ作りをして成長することができれば性格に変化が起こるかもしれない。いろんな経験をしていく中で、私たちは一緒に得るものがあると思うんですよ。ですからうちに来たら、私は最後まで付き合っていきます。学生とは我慢比べになりますけど、1年目はダメでも2年目、3年目に気づいて成長してくれればいいんです」

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大志田秀次(東京国際大学駅伝部監督)


1962年生まれ、岩手県出身。選手時代は中央大学で箱根駅伝を走り、4年時には8区で区間賞。卒業後は本田技研に進み、86年アジア大会1500mで金メダルを獲得した。引退後は指導者の道に進み、2011年から東京国際大学駅伝部の監督に就任。創部5年目の16年箱根駅伝に初出場、20年に総合5位と短期間でチームを躍進させた。今季も勢いは止まらず、10月の出雲駅伝で初出場初優勝の快挙、11月の全日本大学駅伝でも5位に入った。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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