「箱根駅伝にとらわれていた」 國學院大監督に“気づき”を与えた2人との出会い
選手自身に覚悟と責任を持たせる指導に転換
――最初は具体的に、どういうアプローチをしていくのでしょうか?
「まずは今の自分に何が足りないのか、自分を知るところからスタートします。その際、私の部屋に来てもらい話をします。そこで選手の課題を話し合い、それを解消するためにやり抜く覚悟があるのかどうかを見極めます。選手が自分で言ったことをやり抜くには、自分のことを知っていないと正しい選択ができないんです。誰かがそれをやっていたので、自分もやるという考えではなく、自分はこの状況だからこれをやるというのが正しい考え方だと思っているので。
でも、学生は往々にして自分をなかなか理解できない。例えば、私以外から客観的な意見を聞いたり、それを受け止める素直さがなく、自分はこうだからと決めつけてやると失敗します。自分を知るというのはイコール人間性を磨くということでもあるんです」
今の学生は、自分のやり方を選べないだけではなく、選択を他人任せにしてしまうことも多い。例えば指揮官が言ったことをやったが結果が出ないと、出なかった要因について考えるのではなく、『どうしたらいいんですか?』と答えを求めてくる。そうならないように前田監督は、こう選手に問いかける。
「まずは自分を知り、自分で選択してみようよ」
選手に覚悟と責任を持たせないと逃げてしまう――。それが「弱いチームの典型」であると前田監督は見ているのだ。
(佐藤 俊 / Shun Sato)